2022年7月27日水曜日

2938:副総括採用で自動的に2点加算はいけません

JICAの調査案件をご存じの方は分かると思いますが、調査団に副総括を入れると自動的に2点加算されます。そのため、1位と2位の差が2点以内だと、2位の会社に副総括がいて、1位の会社にいないと、勝敗は逆転され、2位の会社が1位指名となります。 実際、JICAさんとしては善意(?)でそういうシステムを採用したと聞いています。すなわち、人材が不足気味のコンサル会社で経験の浅い中堅を副総括にさせて経験を積ませるという発想でしょうか。 しかし、実際は上記のような勝ち負けの道具に使われているのが実情です。困ったことですね。 ある大手コンサルの場合、ある中堅社員を複数の副総括に任命し、首尾よく受注したのですが、突然彼が退社し、その影響が複数の案件実施にでて、JICAさんから怒られたとのこと。当たり前ですよね。 そんなことばかりしていると、会社的に信頼を失います。 僕自身が参加した案件では、堂々とプロポを作成し、いい団員を当て、副総括を設定ませんでした。競争会社は当然2点を目当てにして副総括を配置しましたが、我々は2点以上の評価をいただき、2位の魂胆を撃破しました。さすがですよね。これがコンサルというもの。

2022年7月26日火曜日

2937:水文・気象・水理

この3つの専門性は、水を扱うコンサルタントにとってまさに三種の神器。 通常はコンサルに入って30歳代まで続く専門だ。僕なんか30代を過ぎてもやっていた。世銀とかでね。 JICAなんかでは、若手の専門だが、世銀やアジ銀のコンサルタントでは、シニアでも立派な専門家だ。それだけ重要な項目。 さて、これらの解析を間違えると計画も狂ってしまう。 ちょっとだけ、過去の重大な失敗例を思い出してみよう。僕がやらかした事例ではない。大先輩の失敗事例。 某国某案件だ。 1.流出率が1を超えた! 通常、雨量と流量の関係を年単位で評価し、流出率が1を超えなていないことをチェックする。超えていたら、間違いで、雨量の推定が間違っている。逆もありかな。流量記録が少ないと起こるかもね。実際、昔々、ある大御所の上司がやらかした。流出率が1を超えるような解析を行い、計画に適用した。あとで幹部に怒られたそうだ。やり直したかねえ。たぶん。 2.年平均使用流量を過剰で計画! これはかなり重大な事件。ある会社のことだが、この事実を知っている人はもういるかいないか?もう定年でいない。 アルミ工場って24時間一定量の電力が必要。ある国のあるところでアルミ工場を立地。そのため河川にダム発電所を築き、そこから一定量の電力を得る。その河川の上流には巨大な湖が存在。そりゃいいね、いうわけで、その対象河川の流量記録を解析してダム湖の貯水量を求めた。90m3/s程度の一定利用水量が得られると計画。 そこまではよかったが、後日利用可能水量が80m3/s程度しか得られない。なんでやねん? 実際、僕も精査して分かったことだが、流量を自然に戻さないと起こってしまうのだ。上流の自然湖の貯留のおかげで、アウトレット後の河川流量は自然の流量ではないのだ。 そこで自然に戻し、改めて貯水池オペレーションをやってみると、可能な利用可能流量は80m3/sだった。 これを公にするわけにいかない。 ある天才が思いついた。それだったら、上流の湖に10m3/s流入させればいい。でも河川ないね。 彼は考えた。そうだ、上流に小河川がたくさんあり、それらを集めて、トンネルで導水し、同時に発電しましょう。それなら意味がある。 その後は大変。10個以上の小河川の水量調査。トンネル、地下発電所の設計。その後、建設。建設から完成まで10年以上かかったんじゃないかな。地質が悪く、地下水がトンネル内で噴出。 建設現場に所員として参加した後輩は、ずっと現場にいて、最後は所長。すごいね。今は海外部門の最高幹部。 水文推定の失敗を天才的な発想で克服した良例である。かな?? 最近は、水文気象や水理を専門する人材育成が遅れている。その影響がJICAの案件でもでているね。取水施設が洪水や渇水で被害を受けている。開発調査案件もほとんどなく、技プロばかり。これでは基本的な水文・気象・水理の技術が衰えるね。残念。