2009年6月30日火曜日

272:International Year of POTATO (2008)

南部アフリカに来てからもう数カ月になるが、常にポテトの存在が気になっていた。

1.ホテルの朝食ではポテトのソテーが主でピラフとかヌードルなしでシリアルはフレークだけ。お陰で毎日ポテトを食べることになった。ポテト食にもだんだん慣れてきた。偶に食べるレイズのポテトチップスやマックのフレンチフライもうまいし、マニラ・ペニンシュラやサイゴンのシェラトンのベイグドポテトも中々美味である。カナダのモントリオールにはスージーキューというポテトのスパゲッティーみたいなものもあった。

2.BBCの放送ではポテトの世界的な生産ブームと新種開発が特集されていて、もう3回も見てしまった。

3.南アからは冷凍フライドポテトで世界最大のカナダ食品会社「マッケイン」のCMがこれでもかという具合に目に入ってくる。世界の30%を生産しているらしい。

最近、2と3が符合した。マッケインのインドの子会社が加工工場を新規設立したという。世界的なポテトブームでインドのポテト生産が20倍になった理由がやっと判明した。インド人が食べているのではないらしい。

ネットは生き物ではないが、いろいろ関連情報を次々と向こうから(?)提供してくれる。いよいよ最終的な情報が下記である。昨年はポテトの国際年だったらしい。世界の食糧危機に対してポテトの存在価値が高まっているようである。

Why potato?

"A United Nations international year once actually meant something. But what to make of the International Year of the Potato?" So began a scathing editorial in a Canadian online daily, which joked that IYP might result in a "Declaration of the rights of potatoes and other starchy edible tubulars". The editorialist revealed a lack of familiarity not only with botany – the potato is a tuber, not a "tubular" – but, above all, with the potato's place in agriculture, the economy and world food security.

The potato is already an integral part of the global food system. It is the world’s number one non-grain food commodity, with production reaching a record 325 million tonnes in 2007. Potato consumption is expanding strongly in developing countries, which now account for more than half of the global harvest and where the potato’s ease of cultivation and high energy content have made it a valuable cash crop for millions of farmers.

At the same time, the potato – unlike major cereals – is not a globally traded commodity. Only a fraction of total production enters foreign trade, and potato prices are determined usually by local production costs, not by the vagaries of international markets. It is, therefore, a highly recommended food security crop that can help low-income farmers and vulnerable consumers ride out extreme events in world food supply and demand.

In Peru, for example, the government has acted to reduce costly wheat imports by encouraging people to eat bread that includes potato flour. In China, the world's biggest potato producer, agriculture experts have proposed that potatoes become the major food crop on much of the country’s arable land. India has plans to double its potato production.

Food of the future. The International Year of the Potato has raised awareness of the potato’s fundamental importance as a staple food of humanity. But it also had a very practical aim: to promote development of sustainable potato-based systems that enhance the well-being of producers and consumers and help realize the potato's full potential as a "food of the future".

Over the next two decades, the world's population is expected to grow on average by more than 100 million people a year. More than 95 percent of that increase will occur in the developing countries, where pressure on land and water is already intense. A key challenge facing the international community is, therefore, to ensure food security for present and future generations, while protecting the natural resource base on which we all depend. The potato will be an important part of efforts to meet those challenges, for four reasons:

Potatoes are a truly global food

The potato has been consumed in the Andes for about 8 000 years. Taken by the Spanish to Europe in the 16th century, it quickly spread across the globe: today potatoes are grown on an estimated 192 000 sq km, or 74 000 square miles, of farmland, from China's Yunnan plateau and the subtropical lowlands of India, to Java's equatorial highlands and the steppes of Ukraine.

Potatoes feed the hungry

The potato should be a major component in strategies aimed at providing nutritious food for the poor and hungry. It is ideally suited to places where land is limited and labour is abundant, conditions that characterize much of the developing world. The potato produces more nutritious food more quickly, on less land, and in harsher climates than any other major crop - up to 85 percent of the plant is edible human food, compared to around 50% in cereals.

Potatoes are good for you
Potatoes are rich in carbohydrates, making them a good source of energy. They have the highest protein content (around 2.1 percent on a fresh weight basis) in the family of root and tuber crops, and protein of a fairly high quality, with an amino-acid pattern that is well matched to human requirements. They are also very rich in vitamin C - a single medium-sized potato contains about half the recommended daily intake - and contain a fifth of the recommended daily value of potassium.

Demand for potatoes is growing

World potato production has increased at an annual average rate of 4.5 percent over the last 10 years, and exceeded the growth in production of many other major food commodities in developing countries, particularly in Asia. While consumption of potato has declined in Europe, it has increased in the developing world, from less than 10 kg (22 lb) per capita in 1961-63 to almost 22 kg (48.5 lb) in 2003. Consumption of potato in developing countries is still less than a quarter of that in Europe, but all evidence suggests it will increase strongly in the future.

世界ポテト年とは知らなかったが、当地でポテトを堪能した奇遇からちょっとお勉強してみようか。

自宅のマンションのヴェランダから見える距離にある地主さんの畑を借りることになって、妻がいろいろ植えているらしい。流石に農薬を使わないので害虫が多いとのこと。コンサルと俄かのお百姓さんを兼務するのもいいかもしれない(コンサルを辞めてお百姓さんになった後輩が二人いて、一人は京都、もう一人は埼玉の寄居町、二人とももう10年以上専業で農業をやっていて、かなり安定していると聞いている。後者は東大大学院土木専攻、前者は鳥取大の農業土木出身だ)。二人ともコンサルとしても優秀で気概があった。

ポテトが呼んでいるか?

271:Start a new work at 60's

おとといであろうか、テロの女王と呼ばれた重信房子さんとのインタビューがネットニュースで入ってきた。過去を振り返り自責の念らしきコメントもあった。しかし、これからどうするという姿勢は感じられなかった。63歳。もうその辺の普通のおばあちゃんというイメージを感じた。

60歳過ぎて過去を振り返らなくてはいけない世代なのか?

65歳以上の万引き事件が急増しているという。70歳以上の昭和一桁世代や戦争を生き延びた復興世代は元気であった。戦中から戦後幼少期であった世代から団塊の世代は元気がないと感じるのは私だけか。

60歳を起点として人生の第2の仕事に情熱を傾けた人は誰か?あまり世間を知らないが、国際協力という意味では、

日本工営創始者の久保田豊さん
JICA理事長の緒方貞子さん

ぐらいしか思い当たらない。

お二人は世代もご専門も違うが60歳代から人生第2のご活躍をされた方であると思っている。

60歳を過ぎてさらに新しい領域で情熱を傾けた人生(とは言え緒方さんはまだご健在であるが)は我々にとっては先生である。

昭和30年代の初めには久保田さんの世界的な活躍と名声は確固たるものであったが、コンサルタントの役割が知られておらず(残念ながら今でもそうだが)無理解や嫉妬などから悪いうわさも多かったと聞いているし、「暗躍するコンサルタント」という悪いイメージも不当にも存在する。

数年前に南ベトナム政府に対する賠償に係る外交文書が明らかになった。これを見れば暗躍するコンサルというのは全く間違いであったことが分かる。

それでなくても、久保田さんが昭和34年の外務委員会の参考人(2回あったと記憶している)として語った議事録を読めば、彼の情熱と誠意が真摯に伝わってくるし、コンサルタントの真髄ともいえる信念や理想が理解できる。ネットでも見られるのでぜひ探してほしい。

学生運動で熱し、ビジネスマンとしてこれまで戦ってきた戦士方の60代からの更なる活躍を期待している。自分は学生運動には無関心であったし、ビジネスマンとしても従順ではなかったので、これまでの人生を継続していくことが望みである。

北朝鮮の水豊ダム発電所やベトナム・ダニムダム発電所は政権が代わっても今までずっと運転されているし基本的なインフラとして機能している。

2009年6月28日日曜日

270:足立さんのブログ

すでにお馴染みであろうかと思うが、元JICA専門員の足立さんのブログがある。もう何年も前から続けられており毎日読んでいる。中々できるものではないご貢献である。

小生の雑駁として取りとめのないブログとは大違いである。開始動機も天と地の違いがある。小生の場合は非常に個人的でお百姓さんが大名行列を下から目線でそっと見上げる程度であるし、自分が亡くなった時に、子供たちが、「なるほど親父はこんな世界で仕事をしていて、こんなことを考えていたのか」という資料程度である。

一方、足立さんのブログは最新情報を和訳までされていて非常に親切である。コメントも流石に専門家であり信頼できる。今日のマレーシアに関するコメントには全く同感であって安心した。マ国の方のM/Mに対するこだわりは大したものである。しかし、イランはもっと凄く、インセプションレポートとは何か?と質問してくるそうだから大変である。

自分の経験からいってもマ国の政府高官は優秀であったが、当時は中国系やインド系などもいてあまりマレー系は目立っていなかったように感じた。20年も前のことである。ところが6年前に久々行ったが、マレー系の若い人の英語力が低下し以前のような熱気のある議論がなかった。どうしたことか。マレー化政策の影響であろうか。「Enjoy your dinner」だけしか言わない地方局職員は今でも仲間の笑い話である。

足立さんのブログのように時間をかけてじっくり取り組む姿勢を持ちたいと思うが中々できるものではない。せめて反面教師的な視点のヒントになれば幸いである。ジグソーパズルのような課題の謎解きも。

269:The Peter's Law

本ブログは最初「統合的水資源管理」をテーマにしたが、次第に統合的が取れ(というか自主的に取って)単純に水資源管理と変えている。水資源に限らず管理は統合的であるべきであるし、統合すべき課題が膨大であるため、イギリスの水資源管理計画なども参考にした結果、統合的とあえて言う必要もなかろうとの個人的な発想である。

コンサルとして水資源管理に携わるわけだが、組織強化や人材育成も無視できず寧ろ重要な課題として評価検討する立場である。昔から水資源開発計画を行う上で組織制度や人材育成に係る検討はあったにはあったが補助的なもので調査計画の中心には位置していなかった。所謂「おまけ」である。これも変だなとは思っていたが副団長や団長になる前に話だから自分でどうこういう立場ではなかった。最近は開発より管理というパラダイムシフトがあり組織論が中心的な課題になっている。

さて、確か20年ぐらい前だと思うが、

The Peter's Law

という法則がアメリカから聞こえてきた。当時は大橋巨泉が紹介してたかな。

組織の逆機能とか機能破壊の発生と対策を考察したユーモア法則だとあり、著者のピーターは教育学者で、風刺のつもりで書いたと言われているそうだ。「人々はヒエラルキーのなかで、昇進していくうちに、いつか無能レベルに到達する傾向がある」という。

この法則は、

マーフィーの法則:間違う可能性のあることは、間違っても仕方がない
パーキンソンの法則:仕事は完成のために許容された時間のある限り膨張する

と並ぶ3大ユーモア法則だそうだ。


改めて考えると、どうも今のコンサル会社の逆機能という問題は深刻だし、3大ユーモア法則が当てはまる深刻な状況なのではと思ってしまう。

仕事はまじめにしなければいけないが、多少余裕を持ってこれらの「ユーモア法則」を真摯に考える時期が来ているのではないだろうか。

一般企業の普遍的な課題であるが、コンサル特有の課題をピックアップして解決していかないと、海外途上国での仕事などとても恥ずかしくてできないのではなかろうか。

268:The pledge, the turn and the prestage

土曜の夜は映画もちょっと前に封切られたものがでてくる。今日はマジシャンの物語でSF的な要素もある「The Prestage」である。

内容は伏せるが冒頭にマジシャンの3つの秘訣がでてくる。物語全体がトリックであり、進むにつれて複雑なトリックが進行していく。

サスペンス映画もその要素があり、伏線がどこに散りばめられていたかが最後に分かる仕組みである。下記が冒頭にでてくる3つの秘訣の説明である。

Every great magic trick consists of three acts. The first act is called "The Pledge"; The magician shows you something ordinary, but of course... it probably isn't. The second act is called "The Turn"; The magician makes his ordinary some thing do something extraordinary. Now if you're looking for the secret... you won't find it, that's why there's a third act called, "The Prestige"; this is the part with the twists and turns, where lives hang in the balance, and you see something shocking you've never seen before.

何とかのABCとかが好きで集めているが、この3要素も何かに使えそうである。コンサルの仕事は地味なものでトリックはないが、プレゼンなるとマジシャンほどではないがある種参加者を眠らせない強烈なパフォーマンスが必要な時代である。なんかの機会にうまく加工して使ってみたい3つの言葉であった。うそつきになっては困るが、周到な準備と内容でアハー体験を引き出せば成功である。

2009年6月27日土曜日

267:Hiroshima St. in Iraq

中近東には長らく従事していて、ヨルダン、トルコ、イラン、シリア、サウジと続いている。

これらの国に囲まれているのがイラクである。03年には技術支援の基礎調査に参加しイラク全体の水資源を調査した。とは言え現地には行けないので国内での作業である。

いずれ行ってみたい国ではある。クルド人自治区の現状や過去の歴史は全く聞かないが、トルコやイラン側では多少聞こえてくる。

クルド人自治区のある町にはHiroshima通りという意外なストリートがある。なんで?

87年から88年ごろは、丁度イランイラク戦争中であり、サダムフセインのレジームである。大量の化学兵器がクルド人自治区に落とされ、多数の死者や被害者があった。

この事実は今日知った。それもイランのPressTVである。広島や長崎での原爆投下も同じ殺戮である。そうした共通点からHiroshima通りという名前がつけられたようだ。

クルド人はこれまで周辺国から厄介者という扱いを受けてきたが、トルコでは最近クルド語のテレビ放送が開始された。クルド人が多い南東アナトリア地域を専門とするテレビ放送は92年ころ開始されたと思う。それでもトルコ語であったから、クルド語の放送開始まで17年掛かっている。

アメリカ軍の主力がイラクからアフガンに移ろうとしているが、一体民間人がイラク各地を安心して移動できる日は来るのだろうか?

266:今週の総括

ホテルのお客さんもだんだん増えてきて朝のビュッフェも賑わってきた。5月中旬はホテルも閑散としていて経営状態を心配するほどだった。格安のダウンタウンのホテルはほぼ満員だそうだ。経済的な活気を感じる。

通常と違って車両で移動しないので見えるものと見えないものが出てくる。スーパーの品ぞろえとか買っている人の違いなどは数個所で比較できない。町や地域全体のマクロ的な観察もできない。その反面、歩くことで以前なら見過ごす事象が少しずつ分かってくる。

レソトやケニアではそれほどの黒人の顔を比較分析することはなかったが、今回はずっと多く観察できる。アジア人に似た顔立ち、チャーミングな女性やハンサムな男性、真面目そうなサラリーマン、有能な国際機関職員など。やはり数をこなさないといけない。治安の悪さは街角の人の目線・目つきで概ね分かる。

アフリカ中部固有のサツマイモの存在も初めて知った。キャッサバやジャガイモは知っていたが、スウィートポテトは今が収穫期らしい。蒸したサツマイモをオフィスでかじる職員が多い。うまそうである。ケニアから南部までかなり広範に取れるらしい。

一方、社会の諸相は飲み屋やナイトクラブといったある意味「悪所」に行かないと絶対に分からない。他国ではどこでもあるし危険承知でお勉強のために出かけることもあるが、ここでは車両の確保ができないため控えている。情報だけは持っているが。貧困の影響は中々見えないところで知ることができるのだが。欧米人はそうした悪所で相当エンジョイしているそうだが、日本人は見かけないそうだ。これはローカル人情報。

ビールやたばこは自国生産しているので日本の3分1以下で手に入りお得である。肉についてはやはりチキンがうまい。ビーフやポークはいまいち。ソーセージですらチキンを選んでいる。

さて、今週のニュースだが、

1.京教大事件

やっと収束したようだ。示談成立とか。「有能な?!」弁護士の活躍が想像できる。これもwin-win交渉である。

2.イラン

まだ混乱が続いている。どうなることやら。BBC支局長も国外追放。PressTVも低調。暫く傍観である。イランでもIWRMの調査が実施されているのでこの混乱の影響が出ないことを祈っている。

3.ジャガイモ生産

世界的にジャガイモが注目されているようだ。インドではこの20年で生産高が20倍になった。新種も研究されているそうだ。米からジャガイモという流れができるのであろうか。ポテトチップスやフレンチポテトという需要もあるようだ。

4.シンガポール水週間

水ビジネスへの日本本格参入が官民協働で進めようとするアクティビティーは知っていたが新聞記事でも結構取り上げられているらしい。この記事は長男が見つけて奥さんが送ってくれた。5年前に東南アジアで本格的なF/Sを無謀にも実施したが、後5年ぐらいでROによる淡水化事業が活気づくと予想したが何とか浮上してほしい。原水として海水と汽水も考えること。効率性や経済性がずっと違ってくる。管理も。

東京都水道局では年間300人弱の方が定年で退職されると聞いている。そのうちの3分の1でも海外での水道事業に参加していただくといいのだが、突然海外ではと困惑されるかも知れない。膜メーカーやプラントでは世界的な会社も多いが、調査計画や組織管理経営という側面ではかなりの遅れがある。コンサルもあまり調査計画に係ってこなかった。造水促進センターさんの更なる貢献が期待される。

それにしても親父の関係記事を長男が知らせてくれるのも有難い。小生は結婚後平均して年間の半年は海外単身赴任であり、単純に考えても家族との生活は半分しかない。物理的に一緒にいないことが親子関係に大きく影響してきたことは無視できない。親父とも13年間口を聞かなかったこともあり、今度は逆の立場である。子供たちが自分の判断で進めるアクティビティーをじっと見守っていきたい。自分もそうだったし、80歳以上生きられる人生なのだからまだまだ先は長い。

5.コンサルタントの大御所

古巣のコンサル会社の大先輩である方からメールを頂いた。大兄は小生が81年入社して以来の上司で非常に有能で知的な方である。確か今年73歳になられる。ご意見番的な方が多い会社だったが、その方々の中でもピカイチである。自分が大した実力がないので、人さまの実力のあるなしに対する感性が強い。実力のある方に対する尊敬が強い半面、実力のない方々からは嫌われることになり、これが小生の悪い癖だと妻からよく言われる。確かに必死でサラリーマンをやっている人は自分の弱みを見透かされているようで嫌であろう。

大先輩に有能な方が多くおられ適宜ご助言を頂けるのは幸いである。自分にはそうした人徳がないが、せめて70歳を超えても「お座敷」からお呼びがかかるように心掛けたい。まずは健康。次が弛まぬお勉強である。その次がクライアントのニーズ。コンサルタントはサービス業であるという意識は必須である。我々は評論家でもないし、サラリーマンでもない(かな??)。

265:プロとの再会

ここ何年か修行の身で放浪していたため、古巣のプロ・コンサル会社の方とはお目にかかることはあっても、作業的な連携はなかった。寧ろ別世界でプロを養成する立場であった。

確かにコンサルを養成することも重要であり、組織的な人材育成に係ることは自分のプロとしての素養を高め、新しい可能性を引き出すには良い修行であったといってよく、決してキャリアを損ねることではなかった。

しかし、プロ集団で育った人間にとってはアマチュアかセミプロ的な方々をうまく引っ張っていくのは並大抵のことではなかった。彼らもプロではないが学歴は高く、自尊心もあり自分はプロと錯覚している方も非常に多いからである。中には実力や経験が伴わないにもかかわらず団長に座りたがるといった具合である。

久々、古巣の会社のプロの方々と偶然協議する機会があり、プロの仕事ぶりを思い出した。イシューに対する鋭い分析とプロのコメントの確かさが見事である。状況判断力も抜群である。

長い間、こうしたプロに育てられ、一緒に作業をしてきたんだなーとつくづく感じいった次第である。

非コンサル団体や長年JVサブでやってきた中小会社などが昨今の無競争時代に幹事会社として調査を実施することが多くなったが、各地で苦戦していると聞く。

一流コンサル会社の底力が復活することを心から願う。

2009年6月26日金曜日

264:やっぱ、メリルは素晴らしい

南アの映画鑑賞も数えると80本以上になるか。もう殆ど見ているので新しい映画が出てくるのが待ち遠しい始末である。

そんな中、俳優のインタビュー番組があり、大好きなメリル・ストリープが出てきた。70年代から最近までの主要な主演および助演映画が紹介され、それらに対する過去のインタビューが整理されている。

以前述べたが、俳優はそれぞれの作品に合わせ話し方や発音を変えているので、特に名優であるメリル・ストリープの場合は彼女の本当の話し方や表情はインタビューでしか見られない。今日は大変堪能した。

話し方や発音も申し分なく上品だし、チャーミングだし、気取ってないし、にこやかさと優しさ、誠実さが伝わってくる。元々美人であるけどしゃれっ気やちゃめっけがありと、絶賛し過ぎたか。

と書いていたら、早速鳥インフルエンザの脅威を扱った映画が始まった。

ではこの辺で。

263:ネット検索の意外性

ネットでの検索はある種のセンスが必要であることは以前述べた。

同じ検索環境を持っているのに情報収集量が全く違ってくる。ネットでの検索をイージーだと錯覚する方がおられるが、それはかなり誤認識だと思う。

現地で入手できる資料や情報は限られている。日本での国内作業中にできるだけ多くの情報を獲得しておくことはコンサルタントとして必須であるし、応札する場合はプロポでの勝敗に大きく影響する。

意外とそれを認識されていない方が多いのでビックリする。多分検索するキーワードや継続した検索作業に大きな差があるのだと思う。それと英語力。膨大な情報からテキパキと検索して整理する作業は英語力がないととてもできないのである。

さりとて、日本語の情報は全く使い物にならないのが通例である。

検索術というのもあるように思える。それについてはまたいつか。

最近の検索で面白かったのは、

マレー ダーリン

で豪州の河川を探すと、

「ダーリンはマレー人」というサイトが見つかる。思わず爆笑である。無論、本チャンの検索は英語だが。

本ブルグはグーグルであるためヤッフーの検索では出てこない。あんまりきわどい内容だと大手コンサル会社に恫喝されるかもしれないのでいいかもしれない。事実というのは知られたくないというのは人間の心理かもしれない。従って、このブログでも連番が途切れているものはある人には不愉快になるなと感じて後日削除している。コンサルもかなり危ない橋を渡っているのを知っているので、なるべくそれらについては書かないでおこうと思っている。Nobody is perfect.

262:シルダリア川流入量の回復

1カ月ぶりぐらいか、シルダリア川最上流域のキルギス・トクトグル貯水池の流入・流出データをレビューした。

5月の流入量の記録は以下の通り。

5月中旬:22%増
  下旬:79%増
6月上旬:18%増
  中旬:46%増

予測よりかなり増加している。雪解けは6,7月ごろがピークであるので今年はかなり予想を超えた流出が早めにあったようだ。ダムからのかんがい用水用の放流用は計画通りである。

昨年のパニック状態は何だったのか?タジクのアムダリア川上流支流のダムが枯渇したことからシルダリア上流の渇水を危惧した結果である。しかも水文気象的な考察は全く無かった。マクロ経済屋さんが過剰に反応したのを覚えている。以前も書いたが、ダム貯水池の容量は経年貯留と年内貯留では性格が全く違う。トクトグルは10年程度に1回低水位に至ることを前提としているので、たとえ低水位になっても異常渇水でもないかぎりは復帰するのである。UNDPや世銀には水文専門家はいないのであろうか。

それにしても今年の冬は何とかキルギスの電力不足は回避されるかもしれない。自然は予測不可能であるので油断はできない。

時どき海外でカウンターパートと話している時、

「人間は嘘をつくけど、自然は嘘をつかないからね」

というと確かにねという人と胡散臭がる人に分かれる。

それにしても今年の南部アフリカはさほど寒くない。ローカルの職員に言わせると平年とは違うそうだ。

2009年6月25日木曜日

261:アフリカののどかなニュース

今日の日本からのニュースで珍しく南部アフリカのザンビアからのものがあった。

「ザンビア大統領に猿がおしっこをかける」

というものである。何とものどかなニュースである。ソマリアなどの悲惨さとかは中々伝わってこないが、こんなニュースだけが取り上げられるのも困ったものである。BBCも今日の朝のニュースで取り上げられていたので日本ばかりを責めるわけにはいかない。

大統領官邸の執務室前の中庭にも猿や鳥も訪れるのどかさはアフリカの自然の豊かさを感じられるかもしれない。

大統領のコメントは「これも天の恵み」とかだったが、もっと言っていたように思える。帰ったら確認してみよう。

英語のコメントを日本語訳して放送する場合もオリジナルとかなり違う場合もあるが、スペイン語など他の外国語となると相当酷いらしい。

当地では流石に猿はいないが、カラスのフンはありうる。高度100mぐらいまで上昇気流に乗っていくカラスは始めて見た。

260:一を聞いて十を知ること

アフリカも13年ぶりの出張だが各国いろいろあって面白い。

のどかな点はいいことなのだが、やはり論理的な思考力は残念ながら若干乏しい。

南アのように西洋人が支配してきた国では教育のレベルも高く各省庁のレベルもそれなりにある。近傍の南部アフリカではまだまだそこまではいっていない。

ある方が言った逸話だが面白い。

「アフリカの人には部屋の壁に掛けてある額縁を縦横正しく設置できないんだよね。」

確かに今滞在しているホテルの額縁はちょっと曲がっている。初めて入った時に感じて自分で直した。面白い観察だと思う。

彼らとの挨拶や雑談はいいのだが、残念ながら協議・交渉の段階に入ると支離滅裂になってしまう。多分別の思考回路があるのであろうか。超バトルモードのイラン人や中央アジアの人との議論とは真逆である。

失礼ながら子供と話をしているような感覚になり、そろそろストレスが出てきた。既にインドネシアあたりでもまともな議論が展開できるのであるが、アフリカは奥が深い。

助言や指導も並大抵のことではなさそうである。イギリス式のジェントルマン的な礼儀はあるのだが。

アフリカでのアウェー修行はまだまだ続きそうである。

2009年6月24日水曜日

259:Sirと言われて

Sirと言われて悪い気はしないが、自分が使う場合は注意が必要である。

概ね言われる国は英語が公用語となっている開発途上国である。流石にアメリカやイギリスではホテルのボーイなどサービス業程度か。或いは飛行機のファーストクラスではある。ビジネスクラスではもう言われないだろう。英国航空のファーストクラスは別世界である。キャビアやフォアグラは食べ放題。まさにサロンである。女性のキャビンアテンダントはいないが。

さて、自分が言う場合はどうだろう。C/P機関の副局長とか局長以上には言うことにしている。部課長程度では嫌味になる可能性がある。この場合は英国人の対応を見てまねることにしている。

比国ではアメリカ軍の影響かどこに行ってもsirと言われる。慣習化されているのであろう。言っている方も無意識である。ここ南部アフリカでもそうである。bossということもある。軍人のsirと紳士のsirには大きな違いがある。

植民地化されていた国の宿命でもある。

ところでイギリスのグラマースクールの生徒は先生に対しての発言には必ずsirをつける。これも長年の慣習だが一つの礼儀を感じさせる。言葉に礼儀が感じられなくなると言葉自体に信頼感が生まれない。ちょっとした言葉のあやだが重要なことと思う。尊敬や礼儀を表現するのは言葉しかない。言葉が変わったら子供の精神世界に異変があると思っていい。

お辞儀とか謙虚な行動は他民族には異様にしか見られないのである。言葉の大切さをつくづく思う。

258:早速浦和高校関係者からクレーム?!

前回のブログへのクレームが来た。とは言え、うちの奥さんからである。上位10%が本物か、という表現に異論があるということだ。PTAの部長としては無視できないコメントであったか。

確かに上位10%ではかわいそうだし極端な表現であったか。高校1年生が全国将棋大会で優勝したことを知らされた。クイズ番組でもトップであったことも記憶に新しい。

うちの奥さんは帰国子女だが、日本語は小生より優れているし上品だ。お母さんの教育が良かったせいもある。実際アメリカやイギリスなど英語圏に行った方の師弟は英語はできるが日本のレベルが極端に低下する傾向がある。母国語を忘れたら日本人とは言えない。英語を習得できない両親が子供の英語力を賛美するあまり失った日本語に対して後に気づいても手遅れになることが多い。

今日は局長と副局長などとの協議で忙しかった。英語を獲得して良かったなと思う。言葉しか理解し得るツールが無いからである。無論、相互にだが。

海外に赴任するカトリックの神父はまず赴任地の言葉の習得が最優先事項である。今までに知る外国人神父ではやはり上智大学でも教えていたイグナチオ教会のネメシュギ神父が最高であろう。彼には神聖が宿っていた。他にも素晴らしい神父がいたし、イグナチオ教会のミサは知的でもあった。

海外で仕事をする人はまず言葉を習得することから始めたい。イギリスのパブリックやグラマースクールでの外国語教育は非常にレベルが高い。日本の高校でも見習うことが多いと思う。心に響く言葉であるが。

2009年6月23日火曜日

257:The History Boys

またまた秀作映画の登場である。

イギリスのグラマースクールの話。元々は舞台劇であったようだ。グラマースクールのことが良く分かった。パブリックスクールと違って公立であり10%程度の上位の子供が入れるらしい。いずれも中高一貫である。

最終年であろうか大学の専門に合わせて受験対応の講義が続く。3人の先生と歴史志望の生徒の人間模様が描かれている。自由闊達というのがどんなものかが分かる。旧制中学や旧制高校のようである。実際は知らないが。イギリスの大学入試は面接や筆記試験が主体である。俄か暗記では合格しないらしい。

それにしてもイギリスの進学校の生徒は日本人より大人であるし、教授陣もそれぞれユニークである。そう描かれている。志望大学は主にオックスブリッジである。日本なら差し詰め東大・京大であろうか。イギリスではオックフォードとケンブリッジだけは併願できないそうだ。

埼玉には県立浦和高校という旧制中学だった進学校がある。イギリスのパブリックスクールのホイットギフト校(正式にはIndependent Day Schoolというらしい)に長期で留学させるユニークな制度があり、2年に一人ぐらいが行っているようだ。多分日本語教育に熱心な方針とも関係あるかもしれない。卒業してケンブリッジやロンドン大学に行く子もいるので大したものである。開成を断って浦和高校に行く子供もいるくらいだから伝統高の素晴らしさであろう。無論ガリ勉で中学で一番でやっとこさ入る子もいて面白い。

浦和高校は1学年350人ほどだろうか。旧制中学系はどの県にもあるのだろうが、岡崎高校と浦和高校は公立高としては今でも群を抜いている(旧制府立1中だった日比谷高や神奈川の湘南高校は私立の台頭で低迷しているが、昨今は不況で私立の学費が負担となって公立もだんだん復活してくるかもしれない)。浦和高校の実体はうちの奥さんから時どき聞いているが、人格形成を高める旧制中学的な伝統を守っているらしい。あくまでPTA側からのコメントだが。確かに350人もいれば全てが天才や秀才ではないが、上位10%ぐらいは本物かもしれない。

イギリスのパブリックとグラマースクールは日本の私立有名進学校と公立旧制中学校系に似ているように感じた。勉強のできる子が偏見を持って描かれている日本はさびしい。できる子はガリ勉しなくても、基本的に知的なのである。勉強することが好きだし苦労は感じない。

イギリス版「坊ちゃん」を見ているような錯覚を覚えた。中々いい映画であった。

2009年6月22日月曜日

256:全国平均レベルという開発目標設定の矛盾

開発途上国の最貧地域を対象として水資源開発計画を実施することが多いが、時どきとんでもない開発目標を想定する団長がいる(というか過去にいた)。

計画対象地域の経済発展が目標年までに全国平均レベルにまで達する、という設定である。planning horinonが例え30年でも無理だろう。第一、過去何十年も最貧地域であるのに、将来平均値レベルに達しないことは子供でも分かる。さらにおかしいのは、同国の別の最貧地域でも同じ発想で平均値レベルにするという。益々おかしいことになる。

こうしたとんでもない地域計画がまかり通っていたかと思うとぞっとする。しかし、案外気がつかれないものなのだ。北海道や沖縄が30年後に全国平均にまで経済レベルが上がれば、開発庁は要らないだろう。

こうした矛盾は別の分野でもある。国際化が叫ばれている大学の改革である。世界的な大学ランキング競争があり、日本でも国際化によるランキングアップが目標とされている。しかしだ。国内の知名度や教育研究レベルのランキングは殆ど全く変わらない。国内でのランキングが上がらないのに世界で上がるわけがない。

地域計画も技術支援案件としては多少あるが、どうも信用できない。目標設定の根拠が乏しいのである。絵に描いた餅のようで、何でもありの様相である。過去に実施した地域計画の検証も殆どない。やりっぱなしという感じが強い。戦略性や実行計画もない。確かに地元の人はその場は期待するだろうが。言葉が躍っているだけなのだ。一見かっこいいし、開発コンサルの頂点に立っているというおごりもある。

水資源開発や管理も地域計画と密接な関係があるが、絵に描いた餅とお付き合いする気持ちにはなれない。計画とは常にinevitableなことに追いついていくことだとアメリカ人の計画屋が言っていたがその通りだと思う。

地質屋とマクロ経済屋は真逆の専門だが、見えないことに対して確信的なことを言う性格には共通点がある。山師とは良く言ったものだ。

実際データの積み上げができず右往左往している各専門家の結果が思わしくない時、それを察した非常に優秀な地域計画の団長がすばらしい独自の発想でストーリーや計画を作ってしまうこともあるので要注意である。水資源はそうした「創作」はできないのである。「ダムの位置や構造は変えられても水文量は変えられない」のが我々の調査計画の原点である。

一方、調査・計画と設計・施工監理には深くて大きい違いが存在する。では管理はどうかというと計画と一体であると思う。計画論は管理を想定しないとできないからである。今のコンサルが管理計画ができないのはそうしたことが整理されていないからである。また設計・工事監理屋が調査計画を行う専門性の無視が気になる。ある大手コンサルの技師長さんが「自分の会社の経営組織管理ができないのに他国の水資源管理計画をすることは無理だよね」と言ったが、まさに正論である。

255:越境という新世界

越境というと国境紛争とか国際河川に対するイメージが強いが、小生にとっては中学校が「越境」であった。現在でもあるのか知らないが、40年前は一部の教育ママにとっては重大だった。越境入学と言った。多分田舎でもあったことであろう。流石に県は越境しなかったと思うが。

東京及び首都圏では中学教育が荒廃し始め、私立中学も極端に少なかった。逆に千代田区は住民が減っていて既存中学5校の定員は下降気味。win-winではないが、そうした背景から千代田区5校への都内及び近隣県からの越境入学が可能となった。
麹町、九段、一ツ橋、今川、練成の5中学である。麹町及び九段は今でも存在するが、他の3校は廃校となり1つの中学に統合されている。九段は中高一貫校になったとも聞いた。

当時、東京都以外からの越境者は広く分布していて、埼玉県では浦和、越谷あたり、千葉では船橋、柏、茨城では取手、神奈川では横浜あたりまで広がっていた。番町小、麹町中、日比谷高、東大といった公立での東大への道がポピュラーだった時代だ。

東京オリンピック以降から教育に対するミドルクラスの関心が高くなったが、私立に行かせるほどの年収は無い層には越境入学はお手頃だったのだろう。

そうした風潮は親戚の従弟にまでおよび、足立区から通い始めていた。小生は埼玉の遥か田舎にいたが、両親からの影響なしに自分の判断で越境することにした。片道2時間の通学はかなりのストレスだったが、東京に行くことで世界への道が可能になるのだとおぼろげながら考えていた。失うものもあったが、得るものも大きかった。セロサムだ。

同期にはニュースステーションの古舘君がいるくらいか。当時の優秀な同級の活躍があまり伝わってこない。知らないだけかもしれない。

千代田区5校の先生はさすがに選ばれた先生が多く教育指導も熱心で厳しかった。今から思えば大したことはないが、LL教室の実験校でもあったし、不思議なことに製図も重要視されていた。5校全体での体育会もあり各校の違いも良く観察したものである。麹町はさすがに国家公務員の宿舎が多く、師弟も優秀そうだ。一橋はマンモス中学、九段は女の子のセンスが高い、今川や練成は地味。。。

我々のころは既に美濃部知事の考えで学校群が設定され一時の日比谷高校の勢いも衰え始めていた。くじ引きで学校が選ばれてはおしまいだ。公立から私立へ大きく動いていた。

まだ都電もあって、良く神保町まで本を買いに行ったりしたものだ。2年生のころは学生運動が盛んで明治大学付近は騒然としていたもんである。そこで秋葉原の電気街に行きアマチュア無線の部品を買ったりしていた。

旧制中学的なところもあって、規律は厳しかったが大人としての心構えみたいなものを教わったように思う。学業的には田舎でも変わらないのであろうが、基本的な律するこころが違うかもしれない。コンサルでは田舎出身の方が多いがどうも気が合わない。偏見であろうか。

同窓会も20歳ぐらいまではあったが今はない。なぜか1年生の担任である美術担当の出水先生には82,3年まではお会いしていた。彼の個展を見に行ったのが最後。彼も99年ごろ急死されたと聞く。武蔵野の自然を水彩画で描かれていた。鹿児島の出水市出身。朝から赤ら顔でお酒のにおいをプンプンとされていた豪快な方だった。

今川中学跡地は多目的に利用されていた。先日久々に校舎跡を見たが40年前と変わらずビルの狭間にあり、さすがに校舎はないが当時の雰囲気は残っている。13歳で東京に通うアウェーではあったが、そうしたアウェー体験は今でも変わらない。東武伊勢崎線も今では使わないが、秋葉原から上野、北千住、草加、越谷。。。と沿線は様変わり。今では越境中学生も私立がほとんどだ。

田舎の人は大学で故郷を離れ、さらに就職で実質故郷を捨てざるをえない。さびしさは想像を超えるものであろう。実家の両親の介護なども実質的な問題もあろう。田舎の人のお気持ちもお察しする次第である。

2009年6月21日日曜日

254:今日のニュースから

南部アフリカの乾季にも慣れ、朝の快晴も気持ちいい。

今日のニュースから2件。

1.国際再生可能エネルギー機構設立

水とエネルギーは一体だが、いよいよ再生可能エネルギーも国際的な機構が生まれた。日本も加盟するらしい。こういった国際的な機関はIAEAもあるが複数参加はいいことである。エネルギーもいよいよ多様化を本気で考える時代に突入であろうか。IAEAはやはり原子力の最適利用を第1に考えているので他の電力源は補助的だとする傾向はあった。しかし、昔からWASPなど電力施設計画には大きく貢献してきたと思う。IRNAの動向はこれからフォローすることとなる。下記にサマリー的な情報を添付。

About IRENA

The International Renewable Energy Agency (IRENA) was officially established in Bonn on 26 January 2009. Up-to-date, 100 States have signed the Statute of the Agency, amongst them 38 African, 31 European, 25 Asian and 10 Latin-American countries.

Mandated by these governments worldwide, IRENA aspires to become the main driving force for promoting a rapid transition towards the widespread and sustainable use of renewable energy on a global scale. As the global voice for renewable energies, IRENA envisages providing practical advice and support for both industrialised and developing countries, thereby helping to improve frameworks and build capacity. Moreover, the Agency intends to facilitate access to all relevant information, including reliable data on the potentials for renewable energy, best practices, effective financial mechanisms, and state-of-the-art technological expertise.

With the establishment of the Preparatory Commission, the Agency began work the day after the Founding Conference on 27 January 2009. The Preparatory Commission consists of IRENA’s Signatory States and acts as the interim body during the founding period. The Commission will be dissolved after entry into force of the Statute, which will occur upon the 25th deposit of an instrument of ratification. The Agency will then consist of an Assembly, a Council, and a Secretariat.

Background

Energy is a basic human need – indeed, it makes the world go round by increasing rates of productivity. Without energy, everything would come to a standstill. A necessary factor in fostering human development and economic growth is a secure, affordable, reliable, clean, and sustainable energy supply. Today we face monumental challenges: global warming, the waning of natural resources, explosions in population growth, increasing energy demand, rising energy prices, and unequal distribution of energy sources. All of these factors contribute to the urgent need to transform the energy sector - which primarily relies on fossil fuels - to one that uses renewable energies and energy efficient measures.

Renewable energy is one of the key solutions to the current challenges facing the world’s energy future. Many countries already foster the production and use of renewable energy through different approaches on a political and economic level because they recognise the many benefits renewable energy provides. The current use of renewable energy, however, is still limited in spite of its vast potential. The obstacles are manifold and include: lengthy permitting procedures, import tariffs and technical barriers, insecure financing of renewable energy projects, and insufficient awareness of the opportunities for renewable energy.

This is where IRENA comes in. A major task of the Agency is to develop comprehensive solutions to the above-mentioned challenges, such as fostering all types of renewable energy, and to consider various renewable energy policies at the local, regional, and national levels. In fulfilling its work, IRENA considers specific environmental, economic, and socio-cultural conditions of its Members. The active involvement of stakeholders from the energy industry, academia, civil society, and other institutions is very important for the Agency to implement successful and enduring policy solutions. Therefore, it intends to regularly consult and cooperate with organisations and networks already engaged in the field of renewable energy in order to complement and pool their work resources, thus creating added value.

2.国家的情報収集分析機関設立の必要性

NATOの公開情報を価格の10倍で海自が商社から購入というニュースにはびっくり。中々情報収集分析に人員がいないのであろうが、公開情報程度は商社を使わなくても得たいものである。

それにしてもIT情報時代に対応する国家的な情報機関がないのが不思議である。情報収集分析は実際非常に地味なもので忍耐力と持続性・専門性が必要だ。小説のスパイ活動は寧ろ少ない。

そうした機関ができれば直ぐにでも転職したいぐらいである。

3.イラン情勢

中々収まりがつかない。今はBBC、PressTV、アルジャジーラの3局を見ている。立ち位置の違いが鮮明。日本のニュースは常に遅れを取っているが仕方のないことか。アルジャジーラも結構やるじゃないというのが感想。Twitterは市民ジャーナリストだし、膨大すぎて信ぴょう性も乏しいし当てにならない。砂金探しだ。ただ全体的な雰囲気は伝わってくる。発散し過ぎて収束的なものがない。

4.中大・京教大事件

中大事件は全く聞こえてこない。弁護士はいないのかいるのか不思議である。反対に京教大事件では弁護士のコメントが出てきた。ジャーナリズムの悲しさで次から次へと出てくるニュースに右往左往するしかない。進展がなければそれっきり。中々難しい問題である。

253:父の日の映画

南アの映画チャンネルも明日の父の日に向けて今日から早速父に対する思いを感じる映画があった。

Namesake
Flags of our fathers

1本目はカルカッタ出身のインド人夫妻のアメリカでの新生活と二つの祖国を持った息子の話である。父親の深い思いで名付けられたGogolという名前を背負った青年が父親の思いを理解するまでを描いている。

戦前の日系2世の葛藤を彷彿とさせる話だが、インド人もユダヤ人と同じように移民前の文化や伝統を大切にしている傾向があるようだ。加州日系人は仏教会などを中心としたコミュニティーは比較的日本の文化を継承していたが、宗教的なつながりがない人たちは2世ともなると祖国への思いは比較的薄い。移民時期の交通手段が船であったからか。勿論、帰米2世もいるが。ハワイは若干違うようだ。

インド人は哲学的な思考を持っているインテリが多く、ごく普通のローカルスタッフがお昼休みにシェークスピアを普通に読んでいたの覚えている。英語の発音には難があるが、読み書きの実力は大したものだった。元々英語を理解できたので、母国語を捨てたり英語に対する劣等感はなかったのであろう。

2本目は名作と言われた硫黄島の戦闘の話。ストーリーはお馴染みなので省略。楽勝ムードで挑む戦線で意外に苦戦した。印象に残ったのは、ラジオでの日本からの英語放送。兵士たちが船内で「東京ローズ」の甘い言葉とジャズに酔っている。戦闘意欲を失くすプロパガンダであった。これと同じ放送はヨーロッパ戦線にもあって、ドイツに入ったらリリーに会えると期待したそうだ。リリー・マレーンという有名な歌がある。

息子というのは父親に対しては複雑な思いがあるが、父親の人生や思いをじっくり聞いてあげることがせめてもの親孝行かもしれない。それまでにはかなり時間がかかるものである。日本時間ではもう父の日だ。

2009年6月19日金曜日

252:GHQ/SCAPの水資源基礎調査

GHQといっても50代以降の人しかピンとこないかもしれない。通称、進駐軍というが、正式には、

連合国軍最高司令官総司令部

である。45年から52年春まで日本を統治した。従って自分自身は全く記憶はない。65歳以上の人で当時子供だった人たちは、give me chocolate!と言っていたかも。

さて、GHQだがいろいろ統治政策があるが、水資源と土地利用に関しても基礎的な調査を行っている。当時、幕僚部があり、4局のうち一つが天然資源局であったそうだ。

73項目に亘る基礎調査が実施されている。ちょっと長いが下記に項目だけ示す。

1 Formosan Metal and Mineral Statistics
   台湾の金属・鉱物統計
 2 Coke in Japan
   日本における粘結炭
 3 Quality and Uses of Japanese Coal and Lignite
   日本の石炭・亜炭の品質及び用途
 4 Food Position of Japan for the 1947 Rice Year
   1947米穀年度の日本の食糧事情
 5 Japan’s Big Fishing Companies
   日本の大水産会社
 6 Japanese Food Collection Program with Emphasis on Collection of the 1946 Rice Crop
   1946産米の供出に重点を置いた日本の食糧供出計画
 7 Garnet Resources of Japan
   日本の拓留石資源
 8 Consumption of Expendable Materials by Japanese Coal Mines
   日本の炭鉱における消耗財の消費
 9 Radio-Grade Quartz Crystal Resources in Japan
   日本の水晶資源
 10 Japanese Oyster Seed Export Program for 1947
   1947年の日本の種子牡蠣輸出計画
 11 Newsprint in Japan
   日本における新聞用紙
 12 Experimental Smelting and Refining of Iron-Chromium-Nickel Ore in Japan
   日本における鉄、クローム、ニッケル含有鉱の試験的精錬
 13 1947 Summer Grain Collection and Related Problems
   1947年夏の穀物供出とこれに関連した問題
 14 Machinery Distribution in the Japanese Mineral Industry
   日本の鉱業における機会の分布
 15 Pyrophyllite Resources in Japan
   日本における葉ろう石資源
 16 The Briquette Industry in Japan in 1947
   1947年の日本における煉炭工業
 17 Material Consumption in the Japanese Mining Industry
   日本の鉱業における資材消費
 18 Collection of 1947 Fall Crops in Japan
   日本における1947年秋作穀物の供出
 19 Sources of Coal in East Asia
   東アジアの石炭資源
 20 Machinery Distribution in the Japanese Coal Mineral Industry
   日本の炭鉱業における機械の分布
 21 The Coated Paper Industry of Japan
   日本における塗装紙鉱業
 22 Utilization of Methane as Fuel in Japan
   日本における燃料としてのメタンガスの利用
 23 The Cigarette Paper Industry of Japan
   日本における煙草用紙工業
 24 Japanese Sponge Culture Experiments in the South Pacific Islands
   南太平洋諸島における日本の海綿養殖試験
 25 Outlook for Japanese Agriculture
   日本農業の見通し
 26 Sources of Bauxite in Asia
   アジアにおけるボーキサイト資源
 27 Japanese Government Forestry Research, 1947
   1947年の日本政府の林業調査
 28 Japanese Wildlife Sanctuaries and Public Hunting Grounds, 1948
   1948年の日本の禁猟区および公共狩猟区
 29 Japanese Antarctic Whaling Expedition, 1947-48
   日本の南氷洋捕鯨、1947-48年
 30 Talc Resources in Japan
   日本における滑石資源
 31 Fisheries Cooperatives of Japan
   日本の漁業協同組合
 32 Materials and Power Used in Nonferrous Smelting and Refining in Japan
   日本における非鉄精錬に使用される原料、動力
 33 Forest Fuel Production in Japan
   日本における薪炭材生産
 34 Japanese Antarctic Whaling Expedition, 1948-49
   日本の南氷洋捕鯨、1948-49年
 35 Electric Furnace for Smelting Low-Grade Ores in Japan
   日本における低品位鉱精錬用の電気溶鉱炉
 36 Development of Agricultural Cooperatives in Japan
   日本における農業協同組合の発展
 37 Forest Area, Volume, and Growth in Japan
   日本における森林面積、蓄積及び生長量
 38 Japanese Fishing Fleet Statistics, 1948
   日本の漁船統計(1948年)
 39 Forestry and Flood Control in Japan
   日本における森林と洪水防御
 40 Japanese Forestry Bibliography
   日本林業文献目録
 41 Japanese Antarctic Whaling Expedition, 1949-50
   日本の南氷洋捕鯨、1949-50年
 42 Fisheries Research Program of Japan
   日本の水産調査計画
 43 Management of Private Coniferous Forests of Japan
   日本の民有針葉樹経営
 44 Refractory Silica Resources of Japan
   日本の耐火石資源
 45 Forest Insect Control in Japan
   日本における森林害虫防止
 46 Japanese Fisheries Administration
   日本の魚政
 47 An Economic Outlook Service for Agriculture in Japan
   日本農業の経済的見通し
 48 A Program for Japanese Coastal Fisheries
   日本の沿岸漁業計画
 49 Forest Policy and Legislation for Japan
   日本の林政と法令
 50 Iron and Manganese Ore Potential
   日本の鉄・マンガン鉱埋蔵量
 51 Ground-Water Situation in Japan
   日本の地下水事情
 52 Plant Breeding in Japan
   日本の種畜場
 53 Japanese Agricultural Credit and Financing
   日本の農業信用と金融
 54 An Organization Plan for Farm Home Life Research in Japan
   日本の農家生活改善に関する調査とその機関
 55 Expansion of Dairy Goat Husbandry in Japan
   日本の山羊飼育の発展
 56 Japanese Wildlife Administration
   日本野生動物行政
 57 Adaptation of Taxation to Japan's Forest Policy
   日本林政への租税適応
 58 Crop Insurance in Japan
   日本の作物保険
 59 Japanese Fresh Water Fisheries and Water Use Projects
   日本淡水漁業と利水計画
 60 Management and Administration of Range Lands in Japan
   日本の牧野経営と行政
 61 Improved Forest Planting and Nursery Practices for Japan
   日本への植樹改善と苗木法
 62 Japanese Antarctic Whaling Expedition
   日本の南氷洋捕鯨 1950-51年
 63 Beneficiation of Japanese Ores
   日本の鉱石の利点
 64 Policy and Program for Forest Research in Japan
   日本の森林調査政策と計画
 65 Accounting and Auditing Methods of Japanese Agricultural Cooperatives
   日本の農業協同組合会計と会計検査
 66 Platinum Group Metals of Japan
   日本の白金族金属
 67 Pelagic Fur Seal Research off Japan in 1950
   日本遠洋のオットセイ調査、1950年
 68 Japan's Fresh Water Fisheries
   日本の淡水漁業
 69 Land Use Problems and Policies in Japan
   日本の土地利用問題と政策
 70 Water Resources and Related Land Uses in Japan
   日本の水資源と土地利用
 71 Catalogue of Injurious Insects in Japan
   日本の有害昆虫目録
 72 Japan’s Agricultural Insurance System
   日本の農業保険体制
 73 List of Crop Diseases in Japan
   日本の穀物病リスト

70項目目に興味のある日本の水資源と土地利用がある。39には森林と洪水防御というのもある。51には地下水事情もある。中々興味深い。どんな人がどのように調査したのだろうか?これらを纏めるとちょっとした論文になるし、開発途上国との比較研究も面白そうだ。日本がなぜ敗戦からわずか9年でコロンボプランに参加できたのかの背景とか。

NDLで閲覧できるそうだ。

帰国したらぜひ中身を見させていただくことにしよう。ちなみにwater resourcesは複数のようだが実際は単数扱いする。見掛け上複数として扱う実例は以下の通り。

Water resources are one of the natural resources...

となる。以前書いたかもしれないが、その"a"はという場合は、

The "a" is...

となる。お昼休みの終了である。

251:JICA理事長緒方貞子さんのスピーチ(アフリカ・チュニジアにて)

3日前の16日アフリカ・チュニジアのAfDBセミナーでの緒方さんのスピーチに関する記事がでていたのでご紹介する。JICAさんのアフリカ支援の総括及び将来展望、AfDBとの連携が示されている。スピーチそのものについてはAfDBのホームページを見ていただきたい。

それにしても緒方さんのスピーチは素晴らしい。緒方さんのご活躍を励みにしてしっかりと粘り強く生きていきたい。

Eminent Speakers Series: Africa has made steady progress, says JICA President
16/06/2009

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The Japan International Cooperation Agency (JICA) President, Sadako Ogata, has said Africa has made steady progress over the years, showing an average economic growth of 6% since the 1990s. Mrs. Ogata made this statement while delivering a lecture in Tunis on the theme: Peace and Development in Africa: Upholding the Conditions” to Bank staff, members of the diplomatic corps, the media and development specialists. The lecture falls within the framework of the Bank’s Eminent Speakers Series.

“Based on the stabilization of the macro-economy, an encouraging progress has been made in the provision of social services such as education, health and water supply,” she said, adding that “the expansion of oil extracting capacity or the extraction of petroleum reserves have added to the overall growth of the continent.”

She pointed out that “Africa is taking great strides to realize the outstanding potential of its own people through self-reliant development. The challenge for Africa is to ensure sustainable economic growth under African initiative. Timely international assistance to Africa will foster both political stability and effective economic development.”

On development assistance, the former UN high commissioner for refugees said that since the 1990s, development cooperation had sought ways not only to alleviate poverty, but also to contribute to economic management and state governance. The development community, she said, had become fully involved in post-conflict recovery and peace building operations; though it had not yet identified its role nor clarified its policies on conflict prevention.

Regarding development aid and conflict prevention, she pointed out that key challenges to spreading the benefits of economic growth include containing military action, providing a basic living environment and creating a balanced socio-economic foundation. She added that development aid could and should play a large role in reconstruction with a clear view to contributing to preventing conflicts.

“In fact, there is growing recognition among members of the United Nations and various government circles of the vital importance of addressing conflict prevention. The support of preventive action grew in the aftermath of the disastrous consequences of the 1990s in many parts of the world, most especially in the Great Lakes region of Africa that caused the genocide in Rwanda. However, looking back on the major conflicts of our times, we note that we have tended to overlook the economic, social and political downturns which lead to extensive and devastating conflicts. If I were to modify our individual assistance with conflict prevention in view, greater attention would have to be directed to comprehending and addressing situations of serious and sudden downturns,” she said.

Speaking about the organization she leads, Mrs. Ogata said JICA had entered into important partnership relations with the AfDB, with both organizations signing a memorandum of understanding to strengthen collaboration with a view to ensuring sustained economic growth across the continent. She advised that both institutions had agreed that the areas of cooperation would be broad-based, covering regional infrastructure development, agricultural productivity, private sector development, the environment and climate change, water and sanitation as well as post-conflict situations. She advised that JICA had, in 2008, disbursed US$ 670 million under Official Development Assistance (ODA) loan scheme for Africa, together with grant aid and technical cooperation. The cooperation with the African Development Bank has been scaled up, she stressed.

Interview with Executive Director for Japan, Tetsuya Utamura

“My country intends to expand its role as the main shareholder of the Bank Group. For us, private sector is key to Africa’s development. AfDB and Japan will also work together in the area of science of technology to make the Green Africa Initiative happen,” said Executive Director for Japan, Tetsuya Utamura on the sideline of Ogata Sadako’s visit to the Bank Group.

250:「The Dead Girl」というすごい映画

最近はちょっと映画も低調で、いい映画に出会わなかったが、そう思ったとたんに秀作が登場である。

題名がちょっと不気味である。コーエン兄弟作品かと一瞬思ったがアメリカの女性監督だった。07年の映画祭でも賞を取っているという。

惨たらしい女性の殺人事件から始まり、過去に戻るようなスタイルで進んでいく。5つの物語から成るが殺人事件の謎解きとは関係ない。

一人目:殺害された女性死体の発見者(女性)
二人目:別の女性失踪者の妹
三人目:殺人者の妻
四人目:殺害された女性の母
五人目:殺害された女性本人

ちょっと分かりにくいが、5人の不幸な女性の希望のない人生を描いている。女性監督だけあってセリフにリアリティーがある。内容は省略するが、これでもかこれでもかというように、希望のない現実を突き付けてくる。

悲しい女性たちの現実を女性監督ならではの描き方で表現している。南アでは16歳以上で暴力、セックス、卑語、ヌードありという一番厳しい基準の映画である。16VSLNという。

現実の描き方が尋常で容赦ないところがすばらしい。夢と希望も重要だが、「現実はこうだ」とほっぺたを叩かれているようだ。

現実を無視したコンサルも失格かと久々反省した。

2009年6月18日木曜日

249:Twitterの威力

小鳥のさえずりを意味するネットサイトをご存じだと思う。

ブログとチャットを併せ持った性格があり、世界中で流行っている。小生は参加する気にならないが、昨今イラン情勢が緊張感を増して来た上、BBCも見れないので、早速tehranとかiranelectionなどの項目で見てみた。

非常に緊張感のある入力がありものすごい数の情報が入る。まさにドキュメンタリー的だ。

あんまり当てにならないものもあろうが、さすがにアメリカ国防省が運営会社に定期点検を延長させた理由が分かる。アメリカ政府は当然イランには大使館がないがスイス大使館内に代表部を置いている。WW2の日本代表部がスイスにあったのと似ている。

30年前の宗教革命と今のインターネット情報革命の対峙であるのか。

コメントは避けるが、せめて友人たちが無事でいることを祈る。Peace be with you!

248:マレー・ダーリン川の近況(09年6月)

前回の宿題であった最新の近況が豪州テレビ局ABCから下記が入っている。

Major water management plan to secure Murray-Darling
Posted Thu Jun 11, 2009 1:00pm AEST

The newly-established Murray-Darling Basin Authority has taken the first step in devising a comprehensive basin plan that will set sustainable limits on how much water can be taken from the river system.

Authority chair Michael Taylor says a draft plan will be released for community comment in a year's time, with the final plan due to take effect in 2011.

He says it will be the most advanced water management plan in the world and he is confident state and federal governments will cooperate.

"We have just the most significant shift in the way in which water is being managed since the Constitution was written; I think it's an opportunity we ought to grasp," Mr Taylor said.

"I think the understanding of the need for change is so strong - both with the states and territories and within the Commonwealth - I suspect we're going to get lots of cooperation along the way."

実際の計画内容についてはまだ宿題である。

豪州は気候変動に係る京都プロトコールを批准していないが、気候変動に対応した水資源開発管理計画は意外と進んでいる。若干このブログでも紹介したが。

既にIWRMの成功とか失敗とかを議論する段階ではないと考えているが、今そこにある危機や長期的な展望を持った戦略や実行計画を考えれば良いのではなかろうか。優先順位と意思決定が重要である。

247:IWRM成功例の近況(08年)

マレー・ダーリン川流域と言えばIWRM成功例の代表格である。豪州から関連記事が入ってきた。IWRMも政治的な動きに惑わされるのである。

IWRMも過去、現在、将来に亘ってフォローすべきである。世界の統合的水資源管理という訳本が最近出たが原書はもう10年近くも前の話である。

ちょっと油断すると状況も変わりつつあることを下記の記事が教えてくれる。今年あたりの最新記事は現在調査中である。

Darling deal, but devil's in the detail

Opinion Editorial | Spokesperson Rachel Siewert
Friday 28th March 2008, 12:00am

Now that the fanfare of the announcement out of COAG of a 'historic' Murray-Darling Basin agreement has died down, it's time to look past the rhetoric and back-patting to ask what is in fact being delivered, how does this differ from Howard's previous water plan, and when will we see some real change for the better in the basin?

It seems to me that the big difference is that all the states are now on board, which, in itself, is a good thing. Whether what they have signed up to can actually ensure the fair and sustainable use of our limited water resources in the basin, or whether the political compromises it took to get all the States onboard undermine it, is another question.

Just what it is that has been signed up to is a concern - but the far bigger worry is not just 'what' but - when?

It is fair to say that there is general agreement by practically everyone that the system is in crisis and urgent action is needed to save the Murray-Darling system.

The biggest elephant in the room with this brave new deal is that the commitment to honour existing water sharing plans means that a real cap on diversions to bring extraction down to sustainable levels cannot actually be implemented until 2019!

Time is running out for the Murray (and parts of the Darling), yet the Government has locked itself into the previous government's promise to honour existing state water sharing plans (which continue until 2014 in SA, NSW and Queensland, and until 2019 in Victoria).

In reforming water use within the basin it is important that the Commonwealth strives to deliver a sustainable arrangement that delivers both fairness and certainty to all stakeholders, but it has to be clear that the bottom line is that all plans need to be sustainable. In this way COAG would be better off giving a commitment to honour existing plans to the extent to which they are sustainable within the new whole-of-basin cap on diversions.

We simply don't have another decade to sort this out.

If the Basin Plan cannot be operationalised until 2019 there is a real risk that the Murray Darling system will be dead by the time these changes take effect.

There are a lot more details that still need to be sorted out, and the devil is in that detail.

The most critical issue to the success or failure of the new Basin Plan is likely to be whether the new Murray Darling Basin Authority (MDBA) is truly independent of political interference, and whether it has the capacity to enforce the whole of basin cap if major players simply decide to overstep their allocations.

According to the COAG MoU, the final decisions on the Basin Plan and the cap will be made by the Commonwealth Minister (currently Penny Wong), and individual States can take objections to plan and cap to the new Ministerial Council.

Not only is the Minister the final decision maker, but when the Minister rejects the Basin Plan and sends it back to the MDBA to revise to her liking, she does not actually have to report this to Parliament until the revised plan has been rejected for a second time.

Without the necessary political independence, and without some real teeth to be able to enforce the cap, the MDBA could find itself in the exact same spot as its predecessor the MDBC and subject to the same kind of political decision making that so hampered efforts in the past.

There is still an opportunity for the Commonwealth to put in place a strong and independent water manager that has the ability to withstand political pressure and outlast changes in government and resolve.

To be able to make the plan stick, the MDBA will have its hands on the purse-strings and be empowered to hit recalcitrant states where it most hurts them - by withholding funding if they don't keep their side of the deal.

While the MoU does specify that states' access to the $10 billion in the plan will be conditional upon their achieving agreed water reform objectives, this power is at one step removed from the MDBA in the hands of the Minister, which potentially makes it a political bargaining chip. Furthermore, we have to presume that at some point the $10 billion will have been spent - what will be the carrot and stick then?

We have a narrow window of opportunity to tackle one of the most intractable issues since Federation, and one of the most pressing. We have made a small step in the right direction, but we urgently need to pick up the pace.

It would be a shame to finally shut this sticky gate after the horse had already bolted.

246:柳の揺らぎがアフリカまで

政治には全く関心はないが、イランの情勢が気になる。イランもイラン人もケバブも好きであるから。

選挙前はPressTVの報道からも少しは民主化に動いてきたかに見えたが、選挙後の混乱から報道規制が激しくなりBBCの報道とは真逆になってきた。おとといあたりからか。

イランのサッカーナショナルチーム6人の反政府的なアピールもPressTVでは消されている。既にインターネットと携帯カメラの映像が世界中を駆け巡っているのにだ。

そう思っている矢先に、BBCとPressTVのチャンネルが見れなくなった。他のチャンネルは無事なのだが。

大統領選挙後の混乱はアフリカ各国でもあり、この国でも影響を恐れて報道規制が出たのか(まさか)、あるいはホテル経営者がイスラム系インド人であるためか?

政治はある種の娯楽という感覚の小生にとってはさびしい限りである。

イランの柳の揺れがアフリカまで伝わってきたのであろうか??

2009年6月17日水曜日

245:今日のニュースから

海外での現地調査では資料やインタビューでの情報収集活動があるが、事前の予備的で総合的な情報がないと各収集情報がうまく繋がっていかない。

案件形成、事前、予備調査と名のつく調査では現地滞在が1カ月程度でありコンサルの腕の見せ所である。しかし本格調査の側からみると事前調査などの報告書から実体が必ずしも見えてこないのが実情である。従って事前の調査の段階で次の段階に進むための広範で詳細な調査結果が求められる。これが中々大変な作業である。

今日もある水文専門家との雑談と彼の部屋に貼ってあるポスターや報告書類からきわめて重要な情報が得られた。ジグソーパズルを解くようなものである。事前の情報と彼のコメントをつなぎ合わせ、やっと納得のいくある事象のプロセスが分かった。辛抱のいる作業だが他には手はない。確かに質問票は重要だが表面的な答えしか返ってこない場合がほとんどである。

さて、主題である。

1.イラン大統領のSCO首脳会議参加

イランからみると中央アジアの安定は重要課題である。従ってオブザーバーとは言え、SCO首脳会議参加はキャンセルできない。大統領も国内の混乱回避を見届けながらロシアに1日遅れで入り直ぐ戻ってきた。

選挙結果というものは、

ア.各候補者への総投票数
イ.地域別の投票数

が公表されて初めて透明性が示されるのでないかと思うが、いかがであろうか。これからどんな進展があるか楽しみである。

2.カーター元大統領の中東訪問

久々に彼のお姿を見た。相当年を取った感じ。イスラエルと自国アメリカを非難していた。これはPressTVから。老獪さが漂うが。

3.中大及び京教大事件の続報

中大事件についてはプッツリ報道が途切れた。尋問も暗礁か?京教大については続報が京都新聞に少しある。こちらも容疑者たちのいいわけや見張り役がいたとか、止めに入らなかった学生のその後とかが入っている。週刊誌がないので大雑把な記事ばかりである。週刊新潮とか文春あたりが見たいところである。

4.トルコの不況

ここ5年ほどやっと年7%ほどの経済成長を保ってきた。BBCによると今年あたりは5%のマイナス成長である。失業率も16%にも達する。イスタンブールの貧困層は食べて行けない。多くの友人たちはどうしているのだろうか。もう13年も行っていないのでメールでの交流も途切れ始めた。大学の教授だった方も定年でメルアドが消えた。まさか死んではいないのであろうが。

5.厚労省事件

不正事件としてはどうもすんなり行きすぎて逆に何かあるのかなと邪推してしまう。総選挙前の大きな意味があるのか。民主党も大変だ。

6.北朝鮮後継者のスイス留学

三男と一緒に娘までベルンにいたのか。諜報活動の出番だったのだろうが、それは韓国だけだったのであろうか。

2009年6月16日火曜日

244:女性コンサルタントへ期待

水資源においては昨今の開発から管理へのパラダイムシフトがあり、水・環境・衛生・保健の連携が期待されている。

衛生保健という分野では多くの女性が活躍している。WHO、UNICEFしかりである。

一方、開発コンサルタントでも女性が少しずつではあるが増えているように思う。大手コンサル会社でも数人はいるであろうか。

小生のわずかな経験では、

1.トルコ・国家水利庁の副局長
2.ベトナム・MARDの部課長クラス
3.比国・NEDA地方局局長
4.南部アフリカ某国・水資源関連省事務次官及び副局長
5.ルーマニア・港湾関連省地方局局長

などのカウンターパート機関の幹部が女性であった。女性の気遣いや細やかさを感じ、作業を進める上で助かった記憶がある。

こうしたことからも海外開発コンサルタントで頑張っている日本の女性技術者もそろそろ調査団の副団長や団長として活躍してほしいものである。教育部門では団長クラスも普通であるのだ。

特に水資源管理ではコミュニティー開発といった地域計画との連携が必要であり、ジェンダーという観点も考える必要がある。

昔聞いた冗談だが、

「効率的に作業を進めるマネージャーは、インド人の男性アシスタントとフィリピン人の女性秘書がいればいい。」

というのがある。両国人の特徴をうまく表現している。日本人女性の開発コンサルタントが海外で力を発揮できるのももうじきであろうか。

2009年6月14日日曜日

243:土木を専攻した国家的指導者たち

今日はずっとイラン大統領選後の情勢を見ている。アフマディ・ネジャード大統領の記者会見模様をさっき見終えたところである。

以前から過激なコメントで有名だったが今回は流石に穏健である。彼は今年53歳、79年の学生戦士であった。良く調べると土木工学を専攻し大学講師でもあった。なるほど。

こうした土木工学を専攻した国家的指導者(大統領など)は意外といて面白い。既に知っていたのは、

比国のラモス大統領
パレスチナのアラファト議長

だったが、リトアニアのアダムスク大統領や前述のアフマディ・ネジャード大統領もそうであった。偶然と言えばその通りであるが、興味のある結果である。もっと調べればそれなりの結果が出てくるであろう。

選挙結果の予測は、日本の場合は出口調査と1%程度の結果があれば、開票後直ぐに当選確実が出るしその後変更されることはまずない。これは旧文部省の統計数理研究所の弛まぬ成果のお陰である。確か昔は広尾にあった。イランの大統領選挙については事前のアンケートでは今回の最終投票結果の真逆であったと聞く。それがどの程度の精度かは知る由もない。

イラン大統領も多少風貌が厳ついので軍人出身かと誤解をしてしまうが、意外と言っては失礼だがかなりのインテリであることが分かった。

242:叔父たちの海外活動

イラン大統領選挙の結果についてはBBCでフォローしているが、クリントンのコメントも良識的なもので内政干渉的な過激なコメントは無い。3割の反対票を受け現大統領も内外ともに軟化していくことを期待している。

さて、主題である。

子供が将来何になりたいかはいろいろな要素があろうが、小生の場合は親父よりも叔父たちからの影響が多い。昔は親戚の叔父さん叔母さんと交流する機会が多く、何かと集まりがあったものである。

母方には二人の叔父がいたが、一人は応用化学が専門で昭和30年代には既にアジア各国で技術指導を行っていた。専門家派遣の先駆け的な存在であったのであろう。また、もう一人は先代からの水道業を引き継いでいたが、彼も賠償事業として建設されたインドネシア・ジャカルタのインドネシアホテルの水道部門に係っていた。賠償だから昭和38,9年であろうか。はるか昔だ。

従って小学校4年生ぐらいの時期には海外での彼らの活動に大変興味をもったのであった。さらに父方には義理の叔父さんが商船の船乗りであったため海外渡航から帰って、ジョニーウォーカーの赤、クラフトのカン入りチーズ、ハーシーのキスチョコなどのお土産と一緒に各地のことも聞かせてくれた。船乗りが港に着くと左側に歓楽街が多いなど、子供向けでない情報もあったが。

応用化学者の叔父の場合は技術移転というコンサル活動そのものであり、彼の影響は非常に強い。インドネシアでは最初のネシア語の教科書を作ったようだし、彼が技術顧問をしていたスラバヤ時代には、スリに財布をそのまま差し出した逸話が有名になり、当時の週刊誌に紹介されていた。

今思えば、父親のエンジニアとしての働きと天国の叔父たちの海外活動や技術指導などが複合的に作用して将来の海外コンサルタントを選択したのであろう。情報収集と分析についての興味、英語に対するこだわりはさらに海外での活動に作用している。

帰国子女である妻からは、

「埼玉の田舎で生まれ育ったのになぜ海外志向が高いのか」

と言われるが、上記のようなことなのである。

内向きの時代である現在、海外志向の若者はどこに向かっていくのだろうか?

正直言って、最初からコンサルになる必要はない。何年か他業種で修行してコンサルタントになる方が今の時代はいいのかもしれない。

蛇足だが、応用化学者の叔父は戦後いろいろな宗教に係ったそうだ。初期の創価学会など。最終的に彼が選んだのはイスラムだった。変わり者という日本での評価もなんのその、イスラムの黒いキャップを被って親戚の集まりにも来たものだ。もしかすると職業選択以上の精神的な影響も受けているかもしれない。

2009年6月13日土曜日

241:one.orgの動向

ONEという組織を知らなかった。無知というか世界の動向は中々掴めない。早速会員に登録し暫く様子をうかがうことにした。

今やNGOはコンサルの敵ではない、寧ろ協働するべきパートナーである。小生はNGOと対立したことが全くない。ゼネコンのとも親しいしNGOとも親しい。それがコンサルのあり方であると思う。そのNGOもONEによってさらに世界的な連携を強めて行くであろう。

最近のニュースは以下の通り。

New Mechanism for Fighting Pneumoccocal Disease Launched
Jun 12th, 2009 6:06 PM EST
By Lisa.Fleisher

Today in Lecce, Italy, several donors fulfilled their promise to commit $1.5 billion to fight pneumococcal disease, which includes pneumonia, and is one of the biggest killers of children in developing countries around the world. In 2007, Finance Ministers from Canada, Italy, Norway, Russia, and the UK, gathered in Rome with the GAVI Alliance, the World Bank, the Bill and Melinda Gates Foundation, UNICEF, and WHO and pledged to adopt an innovative mechanism to finance vaccines for pneumococcal disease called Advance Market Commitments. Today that pledge became reality.

Every year, pneumococcal disease kills 1.6 million people, more than a million of whom are under five years of age. Pneumonia, the most common form of pneumococcal disease kills one in four children in developing countries, making it the primary cause of death among young children. A vaccine for these diseases could save millions of lives over the coming years.

A vaccine for pneumococcal disease has existed since 2000, and is already part of routine vaccinations for children in developed countries. However, there is not an affordable vaccine for developing countries. The AMC frontloads financing for the vaccine so that once it is available, it will cost developing countries $3.50 per dose instead of the $70 per dose it costs in developed countries. Over the past two years, the donors involved in the AMC have been working to finalize the legal, financial, and regulatory components of the project. Today, the AMC became fully operational.

Bill Gates, co-chair of the Bill & Melinda Gates Foundation, and panel member at the launch of ONE’s DATA Report yesterday, said “This innovative new model will mean faster access to vaccines for millions of children in poor countries. It’s a great example of how innovation and technology together can produce life-saving advances and make them available to people who need them around the world”.
For more information, read the press release from GAVI Alliance.

水と衛生に関するメッセージは下記、

水と衛生

清潔な上下水を含む適切な衛生設備は、健康・教育・経済的生産性を維持するために不可欠なものです。しかし世界では10億人以上もの人々がいまだに清潔な水を利用することができず、26億人もの人々が下水を整備した基本的な衛生状態を享受できていません。最も深刻な打撃を受けているサブサハラ・アフリカ地域では、清潔な水を利用できる人々は全体の56%、下水設備のある生活を送っている人々は全体のわずか37%です。清潔な水と下水処理設備の恩恵を受けていない人々に対して包括的な投資を行えば、大きな成果が得られるという根拠も数多く指摘されています。

•特に乳幼児の予防医学の観点から、清潔な水と下水処理などの衛生設備を確保することは必須条件です。不潔な水と劣悪な衛生状態は、乳幼児死亡率を高める原因となります。約5千人の子供が、日々下痢によって命を落としていると推測されています。下痢は下水処理施設のない状況や悪化した衛生状態によって周囲に感染していきます。世界中の誰もがよりよい衛生状態を享受できれば、下痢に起因する死亡率を現在の3分の2以下に減らすことができるのです。

•水と衛生が保証されれば、世界中で水汲み役を担っている女性や女児に経済的な収入創出の機会ができます。サブサハラ・アフリカでは、毎年のべ400億時間が水汲みに費やされていますが、この時間を勉強や仕事に使えるようになるのです。家から15分以内で清潔な水が手に入るようになれば、12%の女児が学校に通えるようになります。一方、家から1時間も歩いて水汲みをしなければいけない場合、就学の機会は失われます。また清潔な水が手に入らない、男女別のトイレがないという理由から、サハラ砂漠以南に住む女児の半数以上が学校を中途退学してしまうという調査結果もあります。

•水と衛生が保証されれば、アフリカの家族や国家にとって多額の余剰資金が生まれることになります。水と衛生に1ドルを費やせば8ドル分の労働時間が得られ、その結果、生産性が向上して保健医療の費用が減るとも予想されています。2015年までに、水と衛生に関するミレニアム開発目標(MDG)の目標がサブサハラ・アフリカ地域で達成されれば、アフリカ諸国は国民の保健医療に関わる年間支出を12%も節約できるようになります。これは1人当たり2ドル分の節約に相当します。

清潔な水と衛生へのアクセスを強化することで、得られる利点は明白です。しかしながらサブサハラ・アフリカ地域における進展は非常に遅々たるものです。MDGは2015年までに途上国と援助国が協力してこの問題に取り組み、清潔な飲料水と基本的衛生を享受していない人々の数を半減させることを表明していますが、現在までに目標達成に向けた具体的な取り組みはほとんどなされていません。サブサハラ・アフリカ地域では、水に関する目標達成に関して一世代分も遅れており、衛生に関する目標は二世代分もの遅れをとっています。

2015年までに、安全な水と衛生を享受できない人々の数を半分に減らすこと。そのための知識や技術や資金が、この現代社会に十二分に存在していることは明白です。しかしながらこれらの目標を達成するには、必要な資金を増大させ、途上国と援助国の両者が資金用途の優先順位などを明確化させることが必要不可欠です。

JICAさんもNGOと連携してアフリカの貧困問題に取り組むと聞く。大きな視点でコンサルも参加しないと遅れをとってしまうし時代に取り残されるかもしれない。



脱線だが、今BBCを見ている。グルジアの電力問題である。グルジアには行ったことがないが、トルコのお隣であり多くのトルコ人がいるし、ソ連化して多くの人がトルコに移住している。昔々はイスタンブールの宮殿にタタール人美人が連れて行かれた。今はソ連崩壊で電力事情が破滅的である。中央アジア諸国と同じ事情である。水も重要だが電力エネルギーも大きな課題である。水とエネルギーは一体の問題でアフリカの地方給水も地方電化と一体で考える必要性はある。コンサルも広く深く学ばないといけない。死ぬまでお勉強が続く。

239:イラン大統領選挙

1時間半前に投票が終了した。暑さのせいもあって投票時間は若干延びていた。

開票結果はいつ出るのだろう。

PressTVのお陰でこれからずっと見られる。ちょっと情報を整理すると、

1.79年イスラム革命以来11回目の大統領選挙
2.選挙登録者数:4000万以上
3.石油が一番の輸出製品
4.年間インフレ率30%
5.イスラム革命を知らない世代:3割
6.失業率:12.5%
7.少数民族率;5割

さて、基本情報はこんなところか。

事前の予測や出口調査がでてこないので何とも言えないが、正直全く結果を予想できないようだ。

ポイントはいくつかあるらしい。

1.経済の安定
2.民主化対策
3.女性や少数民族の人権

革命から30年もたつと変わるのは当然である。いつまでもアメリカ大使館襲撃の学生戦士が活躍する時代ではない。彼らももう50歳代である。

ホメイニ師がフランスからテヘラン空港のタラップを降りる際ちょっとした問題があった。それは、防弾チョッキをつけるかつけないかである。師は最初拒否したそうだが、写真で見る通り結果としては着用した。そんな逸話を思いだした。

2009年6月12日金曜日

238:今日も挨拶から雑談へ

当地での調査ももう1カ月。

アフリカの水供給と言えば地下水開発とハンドポンプと相場が決まっていて、先日もあるJOCVの方とお話ししてもアフリカではどこへ行ってもハンドポンプしか見ていないという。

確かにそうであろう。特に村落給水は。

しかし、それだけではないのである。渓流取水もあれば小ダムもある。国によってだが。

そのため表流水開発部門や水供給管理担当部門の方は日本の技術支援対象ではないと感じている。しかし、最近はすでに村落給水の維持管理強化も支援対象であるし、小ダム開発の可能性は無いとは言えない。

彼らとも挨拶から始まり雑談を日々継続している。まだ公式な協議はまだだが、少しずつ仲良しになっている。地下水開発担当者は支援の対象がO&M部門や表流水に移るのではないかと多少心配しているのであろう。その点に関しては地下水の開発も重要であるし継続する必要性は変わらないと伝えている。

水資源関連省の事務次官や局長クラスは水資源の開発と管理の総合的な取り組みの重要性を認識しているが、副局長クラスはまだそこまで理解していないのが実情である。

そこが組織の最高幹部の悩みでもある。サウジもそうであった。

まずは担当分野の重要度、存在意味を認識してもらい、そこからさらに水資源全体から見た担当部の立ち位置を意識してもらうお手伝いをさせていただいている。

毎日、挨拶と雑談では意味がないかもしれないが、協議や交渉ごとは後のお楽しみと見ている。

これまである意味の状況証拠を積み上げてきたが、雑談から物的証拠を引き出している。

それにしてもイギリス式なのか古典的な

hydrogeologist
hydrologist
civil engineer

といった専門家名がまだ残っている。水資源専門家、水供給専門家といった肩書はない。

いつまでも古典的な肩書では昨今の課題に対応できないのだが、やはり昔からの習慣なのであろう。それはそれでいいのかもしれない。それにしても紳士的な人ばかりで助かっている。

ドナー会議で議長からAOBで何かあるかと質問されたが、まだ事情も良く認識していないので、まだ

An Obscure Bussiness

といったら参加者が笑ってくれた。ジョークを理解してくれて幸いであった。お陰で風邪も治った。

237:苦行から成道(じょうどう)へ

信仰ついでにあまり知らない仏教について追記する。海外では仏教について教えてと言われることがあるが、自分自身日本人でありながら何も知らない。ちょっと自分のためにお勉強してみた。

仏道を成就するの意味

仏教に関する話題の中でも、「成道(じょうどう)」という言葉を聞く機会は少ない。たとえば悟りを開くことを表わす言葉にも数種あり、その一つが「仏道を成就する」という意味の成道だという。

お釈迦さまが長年の苦行をやめ、菩提樹の下で瞑想して成道したのが12月8日のこと。

開かれた悟りとは

仏教の目的は成道、つまり悟りを開くこと。お釈迦さまも悟りを開くために、数々の厳しい修行を積んだ。しかしそのような苦行ではとうてい悟りに至ることはできないと知り、菩提樹の下で瞑想された。そして二十一日間の瞑想の後、ついに悟りを開かれ、お釈迦さまはしばらくその喜びを静かに味わっていたという。

ところがすぐにお釈迦さまの心の中には、悟りの内容を人に伝えるべきかどうかという迷いが生じた。ここで「悟りを開いたはずなのに、迷いを生じるのは変だ」という疑問が起こるかもしれない。しかしこの迷いには、二つの理由があったとされる。一つは、悟った内容があまりに難しく、人々はとても信じることができないだろうと思われたこと。もう一つは、その難解さのために自分勝手な解釈をされては、かえって人々を混乱させてしまうのではと思われたこと。

こうしたお釈迦さまの迷いを知った梵天や帝釈天などの神々が「是非お説き下さい」と懇願したので、お釈迦さまも心を決められたと伝えられている。この時の梵天による言葉が、大乗仏教のどの宗派も唱えている「願わくはこの功徳をもって普く一切に及ぼし、我等と衆生と皆共に仏道を成ぜん」という法華経『化城喩品』の一節だという。

そうしてお釈迦さまは説法を始め、後には「知恵の宝庫」である膨大な経典が編纂されて、現代の私たちにまで伝えられたという。

2009年6月11日木曜日

236:信仰と生活(仕事)

今は昼休み中である。毎日オフィス街の中庭ではミサが開かれる。野外であるためミサの様子が伝わってくる。牧師のようであるから正式にはミサではないが、プロテスタントでは何というのであろうか。

フィリピンでは各政府関連機関の中に聖堂があり、同じようにごミサがある。イスラムの総本山サウジでは各オフィスにモスクのような空間があり、毎日5回お祈りの時間が設定されている。インドネシアとかマレーシアではそこまではいかない。

いずれにしても、開発途上国では宗教が生活の一部でありほぼすべての生活に影響を与えている。われわれ日本人にとってあまり身近に感じないし、精々イスラム信徒が日本に来ればブタが出ないようにするとか、お酒は一緒に飲まないという配慮ぐらいか。

実際彼らにとって海外でそういった配慮はあまり気にしないのである。それより日本人は何を信じて生きているのかという疑問の方が大きい。

一神教のカトリックにとってはイスラム教は排除するものではないと常に思っているし、イスラム教徒から排斥されたこともない。同じ神である。マレーシアでは最近カトリック教会でも神をアラーと言いかえる教会も出てきたくらいである。

だからと言って、日本人は無神論者では決してない。寧ろ萬の神を信じているかもしれないし、お葬式には従順である。その信仰心を海外でも保っていると良い。

そろそろ昼休みも終わりだ。

2009年6月10日水曜日

234:アフリカの地下水管理CB

Cap-Netからの情報である。今までもお知らせしたことがあるが、IWRM情報発信の草分け的な世界ネットである。今回はアフリカにおける地下水管理のキャパビリに関して。

Groundwater capacity building takes off in Africa

A regional course on “Groundwater Management within IWRM” was held in Dakar,Senegal from 25-29 May. It was the first course organised by the Africa Groundwater Network (AGW-Net). The course was convened in partnership with the Geology Department/ Faculty of Sciences and Techniques of Cheikh Anta Diop University and the Senegal Country Water Partnership (PNES) and supported by Cap-Net and the Federal Institute for Geosciences and Natural Resources of Germany (BGR). Thirty participants attended the course from 12 francophone countries in West and Central Africa (Benin, Burkina Faso, Cape Verde, Central African Republic, Cote d’Ivoire, DR Congo, Guinea, Mali, Mauritania, Niger, Senegal, and Togo).

Officials attending the opening ceremony praised the attendance of 10 female course participants because groundwater has been traditionally viewed as a male domain. Participants found the workshop as an excellent forum to exchange and discuss the main groundwater management challenges in Africa. They especially emphasised the importance of groundwater monitoring and discussed strategic actions for better advocacy to raise awareness of the importance of groundwater to decision makers.

It is interesting to note that during the same week, the Southern Africa Development Community (SADC) convened a multi-stakeholder dialogue focusing on groundwater, in part to raise the profile of the groundwater resource in their sub-region. AGW-Net plan to hold a similar course across other African regions.

AGW-Netの存在も確認した。

ザンビアなどでのJICAさんの村落給水管理への支援活動も実に素晴らしいが、ぜひこうした国際的な会議で発表して頂くと有難い。

アフリカも広い。サブサハラ地域や南部アフリカなど地域に密着した地下水管理の在り方を改めて認識させていただいた。

233:カナダ人の良識

カナダ人はなぜか目立たない。

コンサル、研究者、国際機関、一般人、どの人も野心的で傲慢ではない。まあアメリカ人と比べても、という比較はある。保守的だが社会保障は充実しているが、経済活動は今一つアメリカの陰に隠れている。

映画も地味だし、アメリカには小馬鹿にされている感じが常にある。カナダ人でアメリカで有名人になった人も多いが、なぜかカナダ出身とは言いたがらない人が多い。

そんなカナダ人をコケにした映画を見た。テレビ映画だが。

Underfunded

題名からして馬鹿にしている。カナダシークレットサービス(CSS)という架空の機関の職員の活躍をコミカルに描いている。小馬鹿にされてもめげないカナダ人の素朴さ。折角掴んだお手柄もアメリカ人に直ぐ取られてもなんのその。気にはしていない純情さ。

呆れるくらいカナダ人が惨めだが、見ていてある種のそう快感を感じる。

コンサルタントもそんな素朴さがいい。人を押しのけても目立ちたい野心家は困りものである。

日本のコンサルに外人として所属して、トロントに戻った日系カナダ人もいいやつだ。彼は今トロント市水道局で働いている。そのうち遊びに行こう。

2009年6月9日火曜日

231:シレ・ザンベジ川水路建設事業

調査案件公示から少し事業のあらましが分かる。

まずザンベジ川だがアフリカ地域で第2番の大河川である。流域は120万方キロ。総事業延長は3,000キロで、

ザンビア:58%
モザンビーク:41%
マラウイ:1%

の割合である。マラウイはシレ川の上流31キロ、下流93キロのザンベジ川合流点までがモザンビークである。

調査検討項目は、

1.水文水理
2.建設コスト
3.ルート選定
4.市場分析
5.社会経済分析
6.EIA
7.段階開発案

などである。どれもこれも複雑で難解のように見える。

特に段階開発である。関連国で共同開発しコストを分け合うであろうが、それが難しい。

マラウイやザンビアの内陸国には利があるが、モザンビークはどうであろうか。マラウイの開発エリアはわずか全体の1%。シレ川とザンベジ川合流点下流が開発されればそれでいい。全体延長の約18%でいい。ザンビアは全体延長がほぼ完成しないと利がない。

建設コストと便益、段階開発案の選定は参加国全ての合意がなければ一歩も進まないし、あまり利がありえないモザンビークのコスト配分も難しい。

越境国際河川の典型的な問題が山積しそうだ。

堆砂も多そうだし、砂州の処理、雨季乾季の運航可能性と船舶の規模選定など興味深い。次は最終報告書を探してみよう。

228:Fargo

ザンベジ川の内陸水運の続報を書こうと思っていたが、途中でコーエン兄弟監督製作のファーゴを見てしまったので先送りである。EUが過去にプレF/Sを実施したことと、F/Sの公示が昨年でて、現在実施された最終報告書が出来上がっているはずである。プレF/Sでの建設費は関係する4カ国の総水路延長3,000キロで6,000億円とのこと。。。

それはまた次回以降に。

さて、コーエン兄弟は昨年?のNo country for old menが有名で知っていたが、もっと面白い作品があるとは。

Fargo

96年の作品で、ノースダコタやミネソタでのストーリーである。内容は省くが、あの辺の訛りが特徴的である。ドイツ語的なヤーを連発する。実際に聞いた記憶がないが、実にそれらしい感じが伝わってくる。先日見たプレーリー・ホーム・コンパニオンもミネソタだが誇張はされていなかったはずだ。

面白いことに、カナダ国境を超えると全く違った訛りになる。国境を越えた途端にカナダ中部訛りになる。イギリス人の表現でセンテンスの最後に、でしょう、という意味のアイ(ロンドンの下町では言うのを聞いたかも)ではなくエイをつける。二十歳前後の女の子でもいうのでびっくり。東部とか西部ではあんまり聞かなかったと思う。

映画はとても残酷だがそれもリアルであり、それと反対に田舎の人の素朴さと人情もリアルである。だからコーエン兄弟の作品はスリラーでないまともな評価を受けるのかもしれない。

映画を見ていて冬のプレーリーの寒さをしみじみと思い出した。先日カナダ人と話していて冬は駐車場にエンジンを温めておくプラグがあるよねと聞いたら、確かにあったけど今は性能が良くなり要らなくなったそうだ。

2009年6月8日月曜日

227:イラン大統領選挙

いよいよ間近に迫ってきた。ペルシャ人は全体の半分しかいないので、少数民族の出方が気になる。革命を知らない20代、30代の動向もあるだろう。トルコ系は約2割ぐらいか。

イランのPressTVのことは書いたが、最近見られるようになったアルジャジーラの報道も盛んになった。まずはレバノンの情勢が先だが。

9年前以前しか知らないが、パラボラアンテナ設置は禁止だったが、それほど厳しくは取り締まってはいなかったはずだ。今日のアルジャジーラでの特集では、警察の取り締まりの強化が報道されている。今やどこの田舎でもパラボラと携帯電話はあるイランだ。取り締まりは都市部だけだろう。インターネットアクセスも同様である。若者の反発はあるに違いない。

アルジャジーラの放送を見ていると、あの荒涼とした高原や山並みを思い出す。丘の斜面の波模様は何だ、という話がでて、ある地質屋さんがあれは地層ではなく、きっと羊の群れが長い間通ったためにできたものだと説明してくれた。そう言えば、イランだけでなく、ヨルダン、トルコ、でも見られる。多分その縞模様はこれからも変わらないだろう。

アルジャジーラへの批判はあるが、良く見てみるとイランに都合の悪い内容も放送しているのが面白い。

兎に角このホテルはイスラム系インド人の経営だけあって、普段絶対に見られないチャンネルがあるので世界の諸相の断片が垣間見られて好都合だ。

イランにいたNHKの方は今やワシントン支局に移られている。彼はかなり精力的な取材をされていたと記憶している。

2009年6月7日日曜日

226:今週のニュースから

ネットのお陰で日本及び世界のニュースが入るので助かる。

1.内食という新語

外食の反意語であろうか。焼きそばが売れているそうだ。消費不況の影響だろうか。小生は昔から内食が好きで、最近はスーパーでの買い物での値引き合戦を見守っている。オープン価格も意外と裏があるので要注意である。案外安くないものである。

内職が昭和30年代の主婦の役割だったが、これからは家族全員で内食で我慢である。親父の作るカレーや焼きそば、ラーメンも偶にはいいかも。

2.マグロの値崩れ

収穫規制もあろうが、マグロは高くて買い控えなのか。あまりマグロに興味がないが、そのうちクジラのベーコンのように貴重品になるのか?

3.中大と京教大事件

ニュースでフォローがないので容疑者の心情がつかめない。個人と集団の違いがあるにせよ、今の大学教育のひずみがあるのかも。心理学者の分析があまり聞こえてこない。学校からも。

ある大学の面接を受けたことがあるが、給与はとても安いですよ、自宅からかなり遠いですよ、学生の面倒は結構大変ですよ、それでも教授になる気持ちありますか?と聞かれたときに、すでに意欲はなくなっていた。クレメシュの言っていたことも満更うそではなさそうである。大学教授もサラリーマンか。

4.日本人の親父はコミュニケーションが下手??

読売のニュースだが、日本人の父親はコミュニケーションが下手とパネラーの欧米人に苦言されたそうだ。欧米人からの批判を喜ぶ日本人の気持ちが分からない。開発途上国からの親父は参加させないのか?

自分の親父とはある時期13年間会話なしだったが、彼のガンの手術を切っ掛けにして、これまでいろいろ話せる関係に戻った。とは言え、うざい時もある。それでも親子である。自分が父親にならないと親父の気持ちも分からない。コミュニケーションは単数でなく複数だ。相互の問題である。親父の会も愚痴の交流では問題だ。

5.北朝鮮後継者の非合法入国

呆れた話である。日本には信頼できる諜報機関はないのだろうか?しっかりとした情報収集分析活動の機関設立が核兵器配備より優先である。

6.IWRM

依然どこからも関連情報が伝わってこない。

7.AOB

日本から持ってきた食品が切れた。そろそろ買い出しか。今日食べたローストチキンは塩だけで食べたが中々イケた。アフリカはやはりチキンがうまい。

225:南部アフリカ地域の内陸水運(序論)

今日は日曜ということで時間が取れなかった南部アフリカの内陸水運の現状と将来を調べてみた。

あまり報告書の類はない。対象となる河川や湖を捕まえるぐらいである。

まず大河川としてはザンベジ川、大湖としてはニャサ湖がある。いずれも越境している。

ザンベジ川は数世紀にわたって水運が行われてきたという。その延長は570kmとのこと。00年にはSADCが地域水資源戦略実行計画を纏め、ザンベジ川とシレ川の内陸水運の可能性を検討している。詳細は不明。

ニャサ湖はマラウェイ、モザンビーク、タンザニアを跨る大湖である。国内外間の重要な交通網である。日本からの中古車はまずタンザニアに陸揚げされ、さらにニャサ湖を渡って内陸部に運ばれる。脱線だが、当地の車両の多分9割は日本車の中古車ではないだろうか。自分と同じトヨタ車種を海外で初めてみたし、警察犬運搬車というラベルもそのままだ。

内陸水運は交通手段の一つとして重要な役割を果たすが、水資源管理との統合的連携を考慮することによって開発ポテンシャルは高まる。まだまだ地域連携は進まないが今後内陸諸国の経済発展が進めば、近いうちに進展がある予感がする。

まずは上記SADCの報告書を探してみよう。

2009年6月6日土曜日

224:The bottom line is that ...というはやり言葉

最近気になるはやり言葉は、

The bottom line is that ...

である。まあ昔からあるが。

語源はご存知と思うが、計算書の最後の行から来ていると思う。結論は、とか、要するに、大事なことは、という感覚である。IWRMにもTriple Bottom Lineとか使う。

自身も、要するにとつい使ってしまうが、使い方には気をつけたいと思っている。説明不足なのに、結論をいう無謀さと不親切さである。標語とか略語での誘導やプロモーションには気をつけたいところである。

最近特に多用されるので気になっていた。コンサルとしては結論を急がず、プロセスを重要視し合意形成をはかっていくことに留意したい。

この表現を聞いたら要注意である。エリートほど使うからだ。

今日見た、11th Hourというデカプリオの環境ドキュメンタリー映画でも、日系カナダ人の有名な科学者であるデイビッド・スズキが、

"When I began look back and say, "What is the fundamental bottom line for us as social creatures?" I could't believe it bacause it seemed so hippy and dippy... but it was love. Love is the force that makes us fully human."

と締めくくったたが、どうも感心しない。昔から尊敬していたのだが、キャッチコピーみたいだし。若者受けを狙っているかな?!

脱線だが、1944年のD-Dayの今日だったが、日系アメリカ人の442部隊は上陸に参加していない。彼らはちょっと前にイタリアのナポリに上陸していたが、その後北上し彼らの戦果が出てくるのだ。Japanese American Historyという本に戦争中の事件や出来事が日時入りで詳しく書かれている。帰国したら買おうと思う。LAには日系アメリカ人博物館があるがぜひ行ってみたいところである。脱線終了。

223:The Doha Debatesって面白い!!

BBCでもCNNでもディベート番組はたくさんある。日本でも爆笑問題が司会をしている議題の討議そして賛否の開票という番組がある。

中でも何カ月に1回あるBBCの

The Doha Debates

は特に興味深い。

形式は爆笑問題の番組と同じだが、一般人の質問も多く、最後の賛否の開票結果も興味深い。ぜひ見てほしい番組であり、ネットでも見られる。

イスラムの女性が発言するのを見ることが少ないので貴重である。今回はイスラム女性の結婚というのがテーマである。それにしてもイスラム系の人たちの議論は熱気があっていい。日本でも国際会議に良く参加するがうまく纏めようとして混乱回避ばかりだ。無論、白熱した議論に対応できない性格もある。

それにしても、インド系アメリカ人のパネラーAsra Nomaniさんはコメディアンの鳥居みゆきにそっくりである。瞳孔の目開きと話し方。不気味だ。目が悪いのか癖なのか?

真面目な番組なのだが、彼女の異様な目開きについ気を取られてします。まだまだ修行が足りない。

222:久々のIWRM論議

南部アフリカもいよいよ涼しい乾季に入った。5,6,7月は朝は寒々とした毎日だが、8月には流石に暑くなるし、マラリア蚊もでてくるだろう。

本ブログもすでにIWRMだけを語るものではなくなった。水の知、コンサルタントの問題など関連領域も広い。最近は映画やテレビも題材にしている。要は広い領域での視点が大事である。

とは言え、IWRMの動向も忘れたわけではない。第5回世界水フォーラム以降はさっぱりIWRM関連記事が入っていないが、3年後の第6回はIWRMの発祥地でもある南アのダーバンであり、できれば参加し発言する気合をもってフォローしていきたい。

その南ア・ケープタウンで昨年IWRMの実施というテーマで国際会議が開かれた。総括的な論文をイギリス人が書いているので紹介したい。すでに述べてきたとおり、イギリス人は公平な立場で良識的な議論ができる。その辺がフランス人とは違うところである。ADBの水資源専門家も同様である。飯のためにIWRMがあるのではない。

サマリーと結論だけを下記に添付する。

Abstract

This paper provides a synthesis of the main issues discussed at a conference (International Conference on Integrated Water Resource Management (IWRM) entitled: Lessons from Implementation in Developing Countries which took place from 10 to 12 March 2008 in Cape Town, South Africa, at the Cape Town International Convention Centre) which was coordinated to share experiences and lessons learned on the implementation of IWRM in developing countries. This paper discusses six themes that emerged from the conference. These themes provide a perspective on the current status of IWRM and assist in formulating the agenda for further research and implementation approaches based on lessons learned. Firstly, although there is considerable history and international acceptance of IWRM, there is still ongoing debate on how IWRM is defined. However, aside from these debates there is general agreement on the principles underlying IWRM and the potential it holds for managing complex systems that cannot be adequately achieved through the single-sector management approach of the past. To overcome past management paradigms, new capacity building approaches are required. Secondly, implementation of IWRM requires a balance between policy and institutional support and community level projects that have small-scale tangible results for the poor. Thirdly, IWRM involves integration across many spheres, specifically the integration of groundwater management into long-term water resource planning. Fourthly, although there is general endorsement of the importance of public engagement in supporting IWRM approaches, effective public engagement requires considerable strategic planning to ensure that efforts are both applicable and relevant to those involved. Fifthly, the conference highlighted the importance of developing appropriate economic methods and instruments to address the economic trade-offs and decisions that are apparent in water management. Finally, appropriate data, information systems and indicators are required to adequately monitor progress with IWRM implementation.

Conclusion

On the basis of its ability to address the integrated nature of managing complex water resource systems, few can argue against the value of an IWRM approach. Implementation of IWRM approaches should result in better water sharing between users, supporting economic and social objectives, while maintaining environmental ecosystems. Many cases, particularly those discussed from Africa, illustrate that IWRM is effective in achieving these outcomes. However, the conference clearly emphasised that more needs to be done to speed up implementation so that benefits and successes can be more easily identified.
A GWP survey in 2006 showed that two thirds of countries are at some stage of introducing IWRM as guiding principle for water management; however, much of this is related to establishing an enabling environment (including policy reform and institutional restructures) (GWP, 2006). Progress in widespread implementation is harder to gauge and will likely show fewer success stories. More effort is now required to demonstrate and monitor how implementation of IWRM is improving water management, specifically in relation to how the poor are benefiting. The United Nations World Water Development Report aptly argues that ‘more analysis of the practical means of moving from a fragmented, sector-by sector approach to IWRM needs to be carried out for lower income countries, and these experiences need to be shared widely’ (UNESCO-WWP, 2006, p 527). The conference emphasised that we cannot use imperfect legislation and institutional structures as an excuse for slow implementation. IWRM provides a promising approach but it also represents an unattainable ideal, or as Molle (2008) argues a ‘nirvana concept’. Perfect integration between all sectors, across the hydrological cycle and between all users is unlikely. One cannot wait to achieve this integration before tangible benefits are achieved on the ground. Benefits must include increased access to water services, socio-economic empowerment, protection of ecosystems, improvement in water quality and overall poverty reduction. Unless we can effectively show that IWRM approaches assist in achieving some of these benefits, the concept of IWRM will lose much of its promise in providing a more holistic and sustainable approach to managing scarce water resources.

賛美と感謝は神様にするものであり、IWRMという対象には現実を踏ま批判も受け入れる対応が必要であろう。

2009年6月5日金曜日

221:manではなくa manだったのか!

BBCの今日の特集では、20年前と40年前の出来事というが事件が取り上げらていた。

20年前の1989年:天安門事件
40年前の1969年:月面着陸

天安門事件では数千人の学生市民が殺されたそうだが最初の中国赤十字推定の発表が突然消されたそうだ。

さて、話は40年前のアームストングの第一声が問題である。

That's one small step for man, a giant leap for mankind

a manではなくmanと40年間理解していた。文法的には可笑しいがmankindと韻を踏んでいるのかなと納得していた。実は真実は下記のようだ。

Neil Armstrong's words on first setting foot on the moon, in 1969. A strong contender as the most famous line ever to have been uttered.

Origin

Armstrong's words are sometimes given as, "That's one small step for man, one giant leap for mankind." Clearly the event was of huge significance and the choice of words was quite deliberate. Armstrong maintained for some time later that he said "for a man" rather than "for man". That line was what he, with the help of his wife, had prepared in advance. The rather fuzzy tapes of the event aren't clear enough to be sure, although the 'a' does appear to be missing.

In more recent years, after listening again to the recording, Armstrong has acknowledged that he may have fluffed his line. More recently still, analysis of the tape indicates that the 'a' may have be present on the recording but is too indistinct to hear.

なるほど、さすがに奥さんと相談して決めたらしい。aが聞こえなかったのノイズのせいであろう。奥さんと相談するところが気に入った。BBCはお勉強になる。

220:Hey, Taxi!

当地に来て不自由なことは足がないことである。やはりアフリカはしょうがないのだろう。アジア、中近東どこでもタクシーはあるし便利だ。

確かにタクシーはあるが高いしコストパフォーマンスが悪いのである。安全なことは確かだが。

といって乗り合いのミニバスはちょっと不安であるし、どこに行くかが分からない。今までの経験で乗り合いのタクシーを利用したのはマーシャル諸島のマジェロである。何しろサンゴ礁のふちに細長く陸地が広がっているのでA点からB点までタクシーが走っている。しかし、途中で乗り合うのが通例である。地元の人と乗り合わせることができるのも犯罪が少ないせいであろうか。

当地ではすでに車両の必要がなくなりタクシーも使わない。これまでで関連する国際機関や官庁はほとんど歩いて行ける距離にある。まず他の国ではないだろう。

マーシャルで思い出したが、水供給的にはマジュロには狭いながら、

1.浅井戸
2.淡水レンズ
3.排水貯留システム(滑走路)
4.汽水淡水化
5.海水淡水化
6.雨水貯留(各家屋)

の6種類がある。海水利用の下水システムもある。ハンドポンプはない。

ここ南部アフリカでは、それほどの種類は無いのである。村落では浅井戸・深井戸(いずれもハンドポンプ)、渓流取水のみだ。都市部になると水中ポンプによる深井戸。ダムは1か所あるらしい。

ところ変わればである。

ここの白タクのお兄ちゃんとも親しくなったが、近いところだと、「歩いた方がいいよ」と親切に道を教えてくれる。商売っ気はないらしい。

2009年6月4日木曜日

219:Sentence first, verdict afterwards!!

昨今はコンサル企業も経営が低迷しているので、簡単に首を切られる。容赦ないし、反駁もできない。

まあこういう時代では、反抗せずに、無慈悲な判決にも従おう。いずれ結果はでるのだ。

さて、主題だが「不思議の国のアリス」で出てくる有名なセリフである。意味はお分かりと思う。

こういう厳しい時代にコンサルタントとして生きているわけだが、どうしたら競争力のあるコンサルになれるのであろうか?技術士があり、TOEICの点数が800点を超えればいいのか?社内と社外では評価されるクライテリアが違うであろうか?

調査団員として調査に参加する場合、評価対象者として参加すればお客様に何らかのクライテリアで評価される。しかし団長でなければ表面的に問題にはならないし、自分がどのような評価をされたかが不明である。

では、端的にクライアントから自分の力量を評価される機会は一体なにか?

JICAさんの場合であると役務とか短専などがそれに当たる。1位指名された場合、他社の方より優秀であると分かる。無競争の場合は他社との比較は無かったが、公示内容を満足する経験があると見なされたと考えていい。喜んで受注し、しっかり自信を持って仕事をしよう。

失注した場合では、

2位の場合はまだまだ望みはある。偶々1位指名の方がちょっとばかし優れていたのだ。

しかし3位ではまずい。順位が知らされない場合もあるらしい。これらは致命的であり、5から10年くらいは修行すべき状況であると思う。

3位が2回以上続いた場合も悲観的に見ていい。2位が三回以上続いたら、やはり出直そう。あるいは専門を変えよう。

しかし、いつまでも1位指名が頂けるかはご本人の継続した技術サービスの努力次第である。数年の後に受注回数が減っていく場合は大反省すべきである。しかし、60歳に近くなると早々知見と経験は変えられない。

調査団長として失注した場合は、特に会社から咎められない。これが問題なのだ。いつまでたっても反省がないからである。

大手コンサルの団長経験者が役務や短専を毛嫌いするのは恥をかきたくないという心理と自信がないという心理が入り混じっている。団長ばかり続け専門的な知見や経験を失っているのである。

お客様に認められるサービス力があればそれで十分である。

218:A death of the old man is not a tragedy.

不吉な主題だが、映画の中で聞いて、いい言葉だったので、記録しておくことにした。これがどの映画で使われたか知っている人は相当の映画好きかもしれない。

A Prairie Home Companion

06年のアメリア映画である。ミネソタの公開ラジオショー番組の最終回を描いている。メリル・ストリープのカントリーソングも見ものであった。彼女は役を完ぺきに自分のものにしてる。流石です。

番組の司会役の声に覚えがあるので調べたら、やはりAFN Tokyo(所謂FEN)で毎週日曜の午後4時ごろ放送している現存する番組(勿論、生放送はミネソタのセントポールである)をもとに作られていたのだった。

FENといっても今や聞く人もいないであろう。中学、高校、浪人中、大学5年、大学院と14年近くも聞き続けたなじみの局だった。昔は非常にローカル(在日米軍関係者に対してだが)で、クリスマス前になると軍属の子供にサンタが電話で話しかけたり、緊急事態になると実名の軍人を呼びだしたりして面白かった。台風接近になるとアメリカ式のハリケーンレベルが知らされるなど。

ウルフマンジャックショー、アメリカンTOP40、クラシックな昔の探偵もの、スリラー、などさまざまなプログラムがあった。クラシックなラジオ番組を聞きたいがために、わざわざ横田や横須賀に赴任する軍人もいたくらいだ。ただし、教養ある留学生には不評だったが。

今はほとんど聞かないが、偶にジャスコに買い物に行った帰りがちょうど午後4時ごろで、この公開ラジオ番組を聞いていて、中々雰囲気のある公開番組だなーと記憶していたのであった。

モンタナ、ノースダコタあたりは知っているが、ミネソタはまだ行っていない。小麦畑が広がるプレーリーは多分同じ風景であろう。

死ぬまで現役というのはコンサルにとってはちょっと無理かもしれないが、せめて悲劇的でない死を迎えたいものである。今読んでる本は、Hans TendamのExploring Reincarnationという具合だ。今回はまとまりがよくない。

2009年6月3日水曜日

217:マネージャーの理想のタイプは??

77年だったと思うが、アメリカの心理学者マコビーがゲームズマンという本を発表し組織における4つのタイプを想定している。血液型による性格判断みたいなものである。なるほど、でも実際はね?という読後感を持つ。下記がそれら4つのタイプについて書かれた雑誌の記事である。

Crafstman, Jungle Fighter, Company Man, Gamesman?

The American psychoanalyst Michael Maccoby has divided managers into four archetypes based on their different competitive behaviors. Each of the four types is associated with a different style of management. No matter which type however, they all desire an impressive working environment with optimal solutions for the daily life of a manager.

The strategies managers use to achieve the goals they have set is very individual. The American psychoanalyst Michael Maccoby examined manager character traits and divided the competitive and management behaviors of bosses into four archetypes:

Craftsman, Jungle Fighter, Company Man and Gamesman

The “down-to-earth” Craftsman is a rational thinker. Maccoby describes the Craftsman as a quiet, modest type who strives for quality and cost savings. Completely different is the fiery Jungle Fighter, who believes in the axiom “eat or be eaten”.
Their goal is power. They see economic life as a jungle in which the strongest one wins.

The Company Man is predominately found in middle management. Their strongest
character trait is concern over the human side of the company. For this manager type,
security is more important than success.

Finally, the fourth type mentioned by Maccoby is the airy Gamesman. They react to work and life as if it were a game. Competition pumps them up and they are able to spread their enthusiasm among their colleagues.

In reality, these manager types usually exist as a mixture in which the one or the other character trait is more strongly pronounced. One thing is certain however, it is important to show status. Success should be visible.

あなた、あるいは上司や先輩はどんな方であろうか?

コンサル会社の場合はやはり創業者はジャングルファイターである。部下というか子分みたいな取り巻きにはカンパニーマンが多い。無論コンサルだから、クラフトマンがいないと技術的な積み上げは不可能だ。一か八かの勝負師であるゲームズマンは、創業者自身が併せ持つ感覚でもある。組織がある程度大きくなると、組織管理を担うカンパニーマンや営業部隊を先導する小型のジャングルファイターやゲームズマンも増えるであろう。

そんな昔の流れは今でもあるのだろうか?

コンサル会社の不正に係るのは概ねジャングルファイターだ。最近は無謀な営業屋も随分淘汰され、いなくなったし、必要ない。

右肩上がりでは組織管理も重要だが、今や無駄の最たるものである。従って、カンパニーマンも要らない。

技術力がなければコンサルは成立しない、20,30年かかってやっと一人前である。クラフトマン的なリーダーが必須である。

さて問題はゲームズマンだ。77年当時アメリカでは最も期待された人物像であるが、昨今の実体経済と遊離したゲーム感覚の商取引は倫理的に最低である。

結論として、残るはクラフトマンである。コンサルタント或いはコンサル会社は長期的に事業を持続的に展開したければクラフトマンを育成することになる。特に海外では実直さと計画屋としてのゲーム的な感覚は必要だ。代替案比較やオプション設定はゲームとして取り扱う必要があるのだ。

京教大の集団事件は体育会系として一番悪い先輩先導の例である。上がすること、言うことに全く逆らえない。逆らえば追放である。こうした性格を持った人物が商社とかコンサルでも人気だが、下手すると会社の存亡を早めることになる(場合もある)。

コンサルには「技術と誠実さ」しか要らないのである。

216:太陽活動と気候変動

報道によれば、sunspotが激減しているそうだ。

太陽表面に周期的に現れる低温度のスポットだが、太陽の局在磁界に強く関係している。黒点数はほとんど0から200個程度。黒点数は7~17年(平均10.7年)の周期を持つ。

流量データを解析すると太陽黒点数の周期と関係する場合がある。

さて、黒点数がないことは太陽活動が弱まっていることを意味する。ここ1000年では5回ほどあったと報道記事は伝えている。前回ではテームズ川が凍結したり、ミニ氷河期であったという。

ここ何ヶ月か、JICAさんの公示では気候変動に係る調査が日増しに増えている。無論温暖化への対応に関係する。

温暖化と真逆な太陽活動の非活発化を総合的に見ていく必要があるかもしれない。その意味でも科学的な見地を重要視することが肝心である。

2009年6月2日火曜日

215:Willow Treeって何の比喩?

南アのMNETという映画専門チャンネルは相当ユニークである。ハリウッド系の配給が主体だが、外国映画の秀作も扱うらしい。

今日はイラン映画だ。アフガンからいよいよイランに。イランについては日本人の仕事ぶりを紹介したこともあろうが映画はまだだった。映画のマニアでないので具体の名前は出てこない。

The Willow Treeという秀作である。監督はかなり有名らしい。内容は省略するが、精神的で宗教的なインパクトがある。盲目だった中年男が奇跡的に視力を回復するが、それによって失った人生に嘆き、自分を変えようとするがそれも叶わない。神様とのバーゲニングはないということだ。家族のきずなを失い、さらに視力もまた失った。

それにしても、柳の木という題名は何を意味するのか?

「柳のようにしなやかに強く生きること」

或いは、

「揺れ動く人の気持ち」

なのか。

テヘラン近郊には小川に沿って柳の木が多い。この作品は04年ごろテヘランで撮影されたそうだ。99年から00年のテヘラン市街を懐かしく思った。

イランでのコンサルタントの多くが「柳の木のように」心が揺れ動き動揺していたが、

イラン人の多くは「柳の木のように」したたかに強く生きていた。

当地アフリカには柳の木は見当たらないようだ。

214:ウガンダ人のマシンガン英語に完敗

今日は国際機関へのインタビューの手始めでユネスコ事務所に行った。

インターナショナル職員には別の会議で会ってあんまり実りがないと実感して、ローカルの水と衛生の専門家に会った。彼は南部アフリカ特有の穏やかな人で英語も全く問題ない。情報もローカルだけあって信頼できる感じである。

彼と30分ほど話しただろうか。途中から上司のインターナショナル専門家(主任)がぜひ僕のところで話をしようということに。彼はたぶんケニア近傍かなと感じていたが、ウガンダ人であった。ウガンダ人の英語は母音が多く日本人には分かりやすいという評判だが、それだからこそ分かりにくい。その上マシンガンのように早口だからなおさらである。昔カナダのエドモントンで入国審査官がインド人であったが、その時以来の言語回路のショートであった。

部下のローカルも上司だから黙っているけど、本当は嫌なんだろうね。当地の人は非常に紳士的ですから。

1時間半も意味不明のコメントに付き合わされたが、最後はローカルの計らいで最新のユネスコの報告書が手に入った。何でも辛抱である。最後にはいいお土産が手に入る。

今日はウガンダ人の英語にビールで乾杯(完敗ではなかった)だ!!

このビールはトルコからの輸入もので最近ツボルグが発表したVOLEのDouble Lageredである。アルコール分は5%。若者向けでトルコのエフェスに対抗したと聞く。今までアルミ缶はなく瓶しかなかったので開けるのに苦労したがこれで解決である。ワインオープナーは売っているが栓抜きがない。スイスアーミーナイフはやはり必要だ。

2009年6月1日月曜日

213:カブールに凧は上がるか?

映画三昧の毎日だが、久々アメリカへの移民の映画だ。それもアフガン人。

タリバン勢力によって多くのアフガン人がアメリカに逃れている。彼らの物語である。多少政治的な国策映画のようでもあるが。以前紹介したヴェトナム人移住者と同じような設定である。共産主義やテロリストトから逃れて移民したアメリカが自由の国である宣伝もあろう。

しかし彼らの歴史を学ぶ上ではいい参考になる。

子供が凧を上げるのも日本では見なくなったが、時々マニラあたりで良く見る。各国には凧の文化というのがあるらしい。アフガニスタンにもあるようで、特に凧の糸を切る技が競われる習慣があるようだ。

アフガニスタンはイランやタジキスタンを含むペルシャ語圏に含まれる。イランとタジキスタンは行ったことがあるアフガニスタンはタジク側のアムダリア河からの対岸から見ただけである。

映画を見るとイランやタジキスタンで聞きなれたファルシーを思いだす。ありがとうという意味のテシェクールはトルコ語と同じだ。サラームも懐かしい。サラマレクンと同じ意味だがイランではそう言う。

映画ではカブールで子供の時に上げた凧がテーマになっている。ヴェトナム人の雨のように。それぞれの移民には忘れ難い遠い祖国の思い出があるようだ。

カブールなどではJICAさんの復興に係る調査案件が続いている。ぜひ行ってみたい国の一つである。

212:スーパーでの見慣れない陳列

当地南部アフリカに来てスーパーの陳列で気になることが一つあった。

通常キャッシャー直前にはガムとかアメとかチョコレート、電池などが並んでいる。お客が待ちの状態で買う心理を狙ってのものだ。

ここのスーパーでは、靴磨きのキウイのカンが大量に並んでいる。何でだろう、とずっと気になっている。答えはまだだが推定できる理由をいくつか発見した。

1.旧イギリスの植民地では背広にネクタイ姿の人が多い。靴は重要だ。しかしそういくつも持っていないので日ごろの靴磨きが必要になる。

2.靴に特別関心があり、タンザニアでは靴を褒めることが多いという。

3.靴磨きを念入りにして長持ちさせる。

なるほど、それなら大量のキウイのカンがあっても可笑しくない。

私などはオフィスでもネクタイはしていないし背広もなしだ。コットンパンツにコットンシャツ、靴はスニーカーである。アフリカ人の方がよっぽどおしゃれかもしれない。省内の中庭ではよく中古の靴が並べられて売られている。これも面白い行商である。