2017年2月15日水曜日

2775:村落給水事業の課題って?

首記に関しては、様々な問題がある。

クライアントもコンサルもすでに承知している。ところが中々解決しないし、プロジェクト的には不合格になるケースも30%程度あるようだ。具体のことは知らされていない。

小生の理解では、無償案件として深井戸設置や掘削機供与及び技術指導といったハード的な援助が主だったが、徐々に村民の維持管理能力強化の必要性がでてきて、ソフトコンポーネントといういい方で進んできている。

それでも持続性が担保されないケースがあり、また村落の衛生向上という無視できない課題も付加されている。

案件自体も年々減りつつある傾向だ。

主たる問題を技プロ案件で論じると以下のとおり。

1.プロジェクト期間は大凡4年くらいか。3.5年というケースもある。本来6年程度を想定していたと聞くが、コンサル側が人員配置の問題があり、4年程度に落ち着いたとの情報がある。小生の限られた経験からすると、最低でも6年は必要で、それならある程度の成果は期待できる。改善の余地はかなりあるね。

2.維持管理向上のためのメカニズムの提案や各種マニュアルの作成がTORにあるが、上記1.のとおり4年程度では成果は見えない。ある案件の場合、7つの提案がなされたが、プロジェクト終了後直後でもそのうち1つの提案だけ生かされ、残りの6つの提案は全く動かなかった。また、マニュアルも作成されたが、記録用紙の利用などもプロジェクト終了以降全く利用されなかった。終了時に首都でプレゼンが行なわれて、中央政府側もプロジェクトで作成されたマニュアルの正式採用を口頭で約束したが、一切進まなかった。リップサービスでしたね。

3.いろいろ案件の内容を見るが、維持管理を実際行なう水委員会が記録するログブックが採用されていない。管理は記録がないと管理と言えない常識が理解されていない。

4.そもそも、人口400人足らずのコミュニティーだけで経験のないハンドポンプつき深井戸を管理運営できるのだろうか?そういう基本的な疑問はないのだろうか?ある国の辺境地でもあったが、人口1500人程度の村で3つの深井戸を維持管理しているが、村長のイニシャティブで複数の深井戸を合同管理していた。いい事例だね。委員会との会議でも、彼らはログブックも持っていたし、水政策も読んでいた。井戸修理のメカニックスも村で養成されていた。まさに自立的発展を示していた。そういう事例は他の州でもごく普通に散見され、その合同管理体制が発展し、レベル2の共同水栓の管理に活かされていた。そういう発想は我が国の事例ではない。3.のログブックすらないですからね。不思議である。

5.不合格と最後に評価された案件は、事前や中間でも分かるんじゃないかと思う。それをしっかり評価分析できるにはやはり専門家がするべきではないか。専門性のない評価分析屋さんができるわけがない。高々2週間の出張ではね。

6.教訓とよき実践が流行だが、よく理解されていないことが多い。知識管理として総合的にアプローチする必要がある。目的は、業務の改善なのだ。よき実践が普遍化されれば、それがベストな実践となり標準化される。

7.そもそも、標準化されているAfridev式ハンドポンプは、開発されてもう20年以上が経っている。抜本的な改善やモデルチェンジがない。ある製品で20年以上もモデルチェンジがないのも異例なことだ。安価で壊れにくいというデザインコンセプトだが、それでも改善は必要だろう。今我が国の中小企業の海外ビジネスの機会増加が叫ばれているが、日本の町工場さんの知見や技術で貢献できないだろうか?

8.各ドナーや国際機関で、直接案件実施しているのは我が国くらいだろうか。最低限のインターナショナルコンサルタントとローカルコンサルや業者、NGOとの連携などで首尾よく実施しているケースがほとんどだ。NGOでもレベル2の施設建設維持を支援している。ベルギーはレベル1では効率が悪いのでレベル2だけで支援している。

9.コンサルの問題としては、村落給水は無償や技プロしかないのが普通なのでコンサルの技術力の劣化が見られるのでは懸念している。調査計画に参加しないと総合的な技術力は落ちるね。これは技術援助全般の課題でもある。

と、いくつか課題を挙げたが、知識管理としてはもっと膨大な事例がないと使えないね。複雑系の水資源管理、流域管理や災害リスク管理などでは、給水とは比較にできないほど課題があるのだ。給水事業はそれほど難しくはないんですけどね。コンサルの実力不足かもしれないね。

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