2015年4月30日木曜日

2611:かなり久々の本の要旨

トレバー・レゲット『日本武道のこころ』の要旨
・わたしは1946年、BBCの日本語部長になった。
イギリスの良い点ばかりを放送したわけではない。
イギリスに対する幻想を作ってはいけない、と思った。
自分の欠点には口をつぐみ、長所ばかりしゃべるような人がいたら、
けっきょく私たちはその人を好きになることはできない。
(同意)

・戦争末期の鈴木貫太郎内閣で書記官長(官房長官に相当)を務めた迫水久常大臣にお会いし、
個人的に昼食をともにした。
そして終戦前夜の事情を書き留めた著作をくださり、個人的な意見も述べられた。

・その中に、こんな話があった。
晩年の鈴木首相は、ほとんど何もしなかったという。
迫水書記官長が用意した書類に目を通して、それに署名するだけだった。
そのため迫水書記官長はまるで自分が国を動かしているような気になっていたほどだったという。
年老いた鈴木首相は、毎日「老子」を読むくらいで、
時折「暑いね」などと言うだけだったとのこと。

・しかし、ある朝、鈴木首相が姿を見せなかったことがあった。
ふだんは冷静で有能な迫水書記官長も、この日は突然仕事が全然手につかなくなってしまった。
何も決断を下せなくなり、手も震えてきてしまったという。
急にその時、どんな責任の重い仕事をしているかを明確に確認したからだ。
しかし午後になって鈴木首相が姿を見せると、
部屋の空気は再び平穏確固としたものに戻ったそうだ。
このよ うな深い伝統である武道の平常心も、もっと知ってもらうべき。
そして日本人も過去、現在を問わず、そのような平常心が発揮された事例を知らなくてはならない。
(すごい存在感だね。今の時代、そういう人いる?戦争末期で平常心だもんね。)

・古典には何度もこう書かれている。
「術の修練は自由な状態に到達するための手段である。
習得すれば、もはや修練は存在しなくなってしまう。
これがすべての道の最終の目的だ」
このことは1630年ごろの『兵法家伝書』に書かれている。

・さらにこう続く。
「修練ということを忘れ、何も考えが浮かばぬように、
それを気にする心も捨て去る。
その状態に達するのは、その道の最高の状態である。
つまり、修練の存在が消え去るまで修練するということである」
(深いねえ。)

・武者修行のすすめ。
一人 で旅せよ。
武道の書は、こう記している。
「戦いの精神を忘れるな」
他の多くの書も同じことを言っている。
「つねに戦いに備えよ。
路上にあって、あるいは食事中も、そして入浴中でも備えよ」
(僕らコンサルでは、プロポ作成がそうだね。)

・私はロンドンでの教師としての柔道生活は、
私に人生について貴重な教訓を与えた。
そして私は、人は4つの方法で物事を学ぶのだと知った。
「指導」「観察」「推測」そして「体験」だ。
私の得た結論は、物事を完全に学ぶためには、
これら4つのすべてを通して学ばなければならない、ということだ。
(コンサルも然りだね。)

・指導者は重要なことだけを教え、細かいことはすべて教えようとしない。
生徒は自分たちで細かいことを学ばなければならない。
真之神道流の秘伝書のひとつ には、こう書いてある。

「私の師匠は技術を大ざっぱにしか教えず、
そしてこう言った。
『本質を学んだのだから、骨肉を砕きながらきびしく、
訓練の基本は精神であるということを忘れずに長期間訓練せよ。
柔術は心術なのだ』」

・柔道の嘉納治五郎先生は、本の中でこう繰り返している。
「自分で学び、自分で研究し、自分で答えを見出しなさい」
また、
「あまりたくさん本を読むべきではない。
本当に良い本を数少なく読んで、その本の細かいところまでくわしく覚えなさい」
とも書かれている。
(同意。コンサルもこれが大事。)

・嘉納先生が強調した基本は、「文武両道」。
文武両道とは、「文化」と「武道の力」を2つ一緒にということ。
「文」は文学のことだが、文化や文明全般の ことを指す。
「武」はご存知のように意志と闘争心のこと。
日本古来の理想を説いた。

・「文」という文字は、先生の説明によれば、
文化、洗練、善良な人格、そして視野と知性の明瞭さを含むということ。
「武」という文字は、闘う力、意志の力、集中力、
そして危機に陥ったときにも冷静でいられる力ということ。

・柔道では、怪我をしても続けるように訓練される。
肉体が発揮できる力はふだんの2,3割かもしれないが、
それでも精神力は衰えず、その2、3割を使うことが出来る。
これに対して、多くの人はケガをしたり気分が悪かったりすると、
何もできないで完全にダウンしてしまう。
不利な状況に陥ったときに精神力を維持できることは、人生で大いに 力となる。

・柔道が育む敢闘精神。
強い相手でも、毎日、この強者を相手に稽古を続ける。
するとある日、この強者にも弱点があることに気づく。
そして数ヵ月後には、相手を投げられるようになる。
そこで自分に対する信頼、自信が生まれる。

・「私は計算が苦手です」
という人が会社に入り、数を計算する仕事につくかもしれない。
「ダメだ、できない」と考えがちだ。
でも真の柔道家は違う。
投げることのできないような古参の強豪に向かっていったように、
事態に直面する。
まず『計算に強くなる本』といったものを買い込んで、
毎朝毎晩20分ずつ練習を繰り返す。
4週間もすれば、すっかり計算に強くなる。
恐れていたものを完全にマスターしてし まうのだ。

・不可能を可能にする力。
柔道は教えてくれる。
不可能なこと、私たちにとって不可能と思われるようなことが起きても、
知性と意志が適応すれば可能になることもある、ということを。

・自分の心をコントロールすることができれば、
いろいろな発想が出てくる。
昔から、柔道の稽古が終わった後で、精神統一の訓練をしたものだ。
心を空にすることができれば、発想力がつく。
まず一生懸命に勉強して、それから心を空にする訓練をする。

・ポーリング博士は、自分の研究方法について、こう語っている。
「私の能力を超えて、手に負えないと思えるような問題には、
積極的に潜在意識の力を活用する。
一週間か二週間は、寝る前、そしてベット に入ってからも、
その問題について考える。
その後、わざとその問題を頭の中から振り払って忘れてしまう。
するとアルファケラチンの構造を発見したときのように、
何週間か、何ヶ月か経って、突然、答えが完全な形で頭の中に浮かんでくる」


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今回の本の要旨は上質。本自体を読む気になった。

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