2011年5月27日金曜日

1227:久々の大先輩との雑談

人の話はじっくり聞いてみるもんだと思う。

以前、このブログで書いた水豊ダムの話。僕の得た情報では4基ある発電機の3基はソ連によって敗戦後直ぐ取り外され、カザフの発電所に利用されたと云うことだった。

大先輩曰く、3基はアメリカ軍の攻撃で破壊されたとのこと。スピルウェーも破損したそうだ。

それが事実だったかの確認はできない。ソ連側が、破壊された発電機を再生し利用した可能性はある。シーメンス製だったというのも新事実。東芝製と思っていた。破損されつつも利用価値があったかもしれない。水豊ダムの発電機は100MW。当時としては世界最大級であった。

さて、雑談は2時間に及んだが、中でもビックリしたのは、数カ月前に南部アフリカで会ったある電力会社系のコンサルさんは、実は僕がいた会社に何年か在籍したようだ。その後退職し、スポーツ用品関連会社に移り、その後また海外コンサル業に戻ったようだ。従って、十分な実務経験はない。実際、現地で彼の言動を見ていたが、実務者としての殆ど力量はなし。CV的にはいいのだろうが、小生は騙されない。彼も卒業以来ずっと関西の電力会社系コンサルにいたようなもののいい方であった。工学博士とか何とかフォーラム出向の経験では実務は駄目だ。もっと反省して頑張ってほしいね。

こういうことも人の話をじっくり聞きながら、少しづつ質問していくと、意外な事実が見えてくる。刑事みたいな感じだろうか。

それにしても今のコンサル会社はクライアントを断然リードする新技術や開発管理手法を持っていないのは深刻な問題である。

米国で博士号を取って帰国したある人も今だ国内に留まっているようだ。海外で通じる力量を持っているなら海外コンサルで頑張ってほしいが、なければ国内に留まっているのも一案だ。グローバル戦略って何ですか?グローバル戦略も日本の企業各社で流行りだが、既に世界で競争力を失っている企業では無駄な部署だね。AI室と同じ運命ですかね。まあ大きなお世話だけれど。

彼の博士論文のテーマは、

Capacity Building for Flood Management in Developing Countries

とのことだが、この魅力のないテーマで博士論文ですか??テーマがあまりにも雑駁過ぎるね。全くインパクトがない!!成果がにじみ出ているテーマじゃないね。実務で適用できるキャパビリの手法の提言があるのだろうか?開発途上国出身学生のレベルの内容なのだろうか?水セクターの最高峰の論文集であるWater Resources Researchでは絶対に採用されないタイトルである。

アフリカ人の博士論文の例では、

一橋大の社会学の研究で、アフリカの統合的水資源管理の事例を取り上げたケースがあるし、イギリスの大学では南部アフリカ人が自国の水資源管理を取り上げた例がある。後者の論文は400ページもあるが中身はレビューだけ。まあ途上国の外人だからいいんでしょうね。いずれもdescriptiveで示唆的ではない。

ある日本人の場合は、今は世界的に無力で死に体で権威のない国際水資源学会で教授との連名で発表されているらしいけれど、アブストラクトでは、

How flood risks are affected by infrastructure and institutional arrangements differs among developed and developing countries. This paper compares flood management systems in Indonesia and Japan as they are affected by institutional, organizational and individual capacities. It uses a conceptual model and applies performance indicators to organize the measures of flood management effectiveness. The case studies show that institutional arrangements are essential for effective flood management, but their effectiveness depends on implementation capacity. While infrastructure may mitigate flood damage, its limitations must be recognized. Informed awareness of flood threats and management by the local community is critical.

となっている。このアブストラクトを読んでも、論文の中身を読んでみたい気にはならない。日本とインドネシアと比較と云うのもね。このアブストラクト自体、文脈的にタイトルとの論理性が見いだせない。キャパビリを語るほどの経験はないだろうに。

では、インドネシアが効果的な洪水管理を実現できるためのキャパビリないしは能力開発とは一体何なんだろうかという実践的な手法は提案されているのだろうか。performance indicatorで能力向上するかの検証をしてほしいね。

今時、概念モデルではなく、実践的な管理モデルと人材育成・組織強化のモデルが必要なんですよ。アメリカ人が知らない日本とインドネシアを比較する杜撰さと姑息さが見える。途上国出身者がやることである。それならお情けで博士号も頂ける。日本人でコンサルタントと云う実践者は絶対にしてはいけない。今後の実務的活動が直接係ってくるからだ。ヴェトナムのように10年経ったら援助対象国から卒業させる知恵が必要だ。インドネシアには既に40年以上援助し続けている。コンサルとして彼らを自立させる知恵を示して頂きたい。それでこそ実務者が博士号を取る意味があるのだ。

概念モデルですか。IWRMも概念だけが先行して実践的でない批判をこの10年浴びている。博士論文でケーススタディーというアプローチも低レベルだ。

クレメシュがある大学の主任教授職を断ったのも頷ける。これは関係ないけどね。クレメシュは天才しか弟子にしないからね。平凡な学生に対するアメリカの大学教育には全く興味なかった。

上記程度の論文は世界一流の大学(オックスブリッジやハーバードなど)では精々修士論文程度のレベルですね。まあ大学のレベルも偏差値40台で低いからね。国際水資源学会だから簡単に取り上げてくれたのだろう。或いは指導先生の七光りかもしれないね。サウジあたりのドクターもそういう傾向がある。ドクターを取ればそれでいいという考え方は危険だ。

以前も書いたが、海外の水資源管理手法に関する技術移転の実践はかなり進んでいる。今の日本のコンサルには当分届かないレベルだ。クライアントをあっと言わせる天才や秀才がコンサル会社にいない深刻さは無視できない。

特に40代のコンサルに特出した逸材が殆どいない。

後輩の今後のご活躍を見守っていくことにしよう。海外で活躍するのであればだけれどね。論文集としては無意味なWater Internationalは駄目だよね。せめて、最低でもアメリカ土木学会の論文集とかで発表して欲しかったが、多分査読で引っかかるだろうね。良識ある研究者が減っている国際水資源学会での査読の信頼性はないな。

参考に、30年前に水セクターで最高レベルの「Water Resources Research」で2度論文を発表した天才「橋本強司」を見習ってほしいものだ。

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