2008年11月27日木曜日

11:Biswas氏健在なり

今日偶々アルゼンチンのIWRM事例の論文探しをしていたら、偶然ビスワス氏の最新論文を発見した。

IWRAの08年9月号の論文で「Current directions: integrated water management - a second look」である。IWRMに対しての考え方は04年論文と変わらずと宣言している。流石だなー、と感心した。昨年スウェーデンで大きな賞を得ているので意気盛んである。04年論文も好評とかで670通のコメントのうち90%が彼のIWRM批判に賛同しているという。

論文の結論では、いずれドナーも開発途上国もIWRMの実施不可能さを認めるだろうと予言し、IWRM推進派も次第にIWRMを誇張せずに、多くのmeansをフォーカスするのではなく水管理のendsにフォーカスするだろうと。

かなり強気な発言であるが、正直言って反論ができない。02年のWSSD以来WWFも03年京都、06年メキシコ、そして09年イスタンブールと既に6年経過したが、コンセプトだけで一向に実現性が見えて来ない。

IWRMが水資源システム分析やISOの流行が去ったのと同じような運命になるのかが興味深いし、著名なIWRM推進派の発言やドナーの動向が気になるところであり、来年三月のイスタンブールでのWWF5が待ち遠しい。トルコで8年ほど仕事を連続してしたが、主催者のDSI(国家水利庁)の事業にIWRM的なものは一度も見たことがないので、どのようなホスト役をするのかが興味深い。南東アナトリア地域のGAPは案外good practiceとして取りざたされるかもしれない。小生も88年から89年GAPに関わったが、下流の水需要を無視して水資源開発計画を実施した経験がある。若気の至りである。

ビスワスはカナダ人だが、もう一人辛らつだが賢者の誉れ高い水文学者Klemesもカナダ人である。この二人のカナダ人水資源専門家に勝てる論客はそうはいない。Klemesは生涯弟子を持たなかったが、私は彼の弟子だと勝手に思っている。

結論として、自分はIWRMの全てのmeansを扱うことは諦めているが、それらで最も重要な課題には取り組んで行きたいと思う。ひとつ二つでも大変なintegrationではないだろうか。

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