若干の経験からものを申すのも不遜であるが、自身の経験の整理として記したい。
以前WBの流域開発T/Aの団長をしたが、その時のTORではIWRMというコンセプトは全くなかった。精々watershed managementという考え方は提示されていた。プロポーザルでは当時アメリカで流行のwatershed restoration management手法の10法則を使ってTORを評価し、調査を実施する価値ありとした。大きな賭けだったが受注に至った。2度とは使えない手であった。WBのT/Aをやるチャンスはそうはないと判断した暴挙だった。
IWRMという観念とinstitutionsのcapacity developmentがTORに明記されたのは03年ごろADBのT/A案件で最初に見た覚えがある。
それ以降、JICA案件でも徐々にIWRMがTORに入ってきて、ここ数年では開発計画とともに統合的水資源管理計画の策定が当たり前となってきた。まだそれらの成果を比較する段階ではない。
ADBやWBのケースでは、水資源開発マスタープランの前段階であるframework策定段階でIWRM計画が実施されることが多い。水資源戦略、実行計画を含むIWRM計画となる。今後JICAでIWRM計画を実施する場合はWBやADBの事例を研究すると良い。また、南アのDWAF、オーストラリアやブラジル、アルゼンチン、カザフなども参考となる。残念ながらアメリカにはIWRM計画はない。工兵隊のIWRが水資源管理を担当しているのでアメリカのIWRM動向についてはIWRが大変役に立つ。
一方、欧米のコンサルタントもIWRMに特化した会社も多く、DHIは最先端を走っているといってよい。DHIオーストラリアのフーパー博士は第1人者であるのでフォローするとよい。時差が1時間のため彼にメールすると数分で応答があるので便利だ。彼らも最近はIWRMは誇張せず、basin governanceという言い方をしている。IWRM計画を影で支えている集団でもある。日本のコンサルがそこまで行けるにはあと何年かかるだろうか?
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