04年にインド系カナダ人のBiswas博士が35種の統合すべき課題のセットを公表した。既存の研究報告からまとめたものだ。4年後の今年初めには41種として再公表した。
ビスワスは70年代から水資源分野の権威者の一人であり,、昨年はスウェーデンの水資源関連組織から過去の貢献に対して表彰を受けている。国際水資源学会の初代会長でもある。奥様は現会長である。 余談だが、この学会もビスワス氏の奥さんが会長になり、学会内は混乱し、事務局もカナダから南アフリカに移った。残念ながらdisintegrated状態だ。
個人的には86年開催されたイタリアのセミナーで初めてお会いし、大変お世話になった記憶がある。発表者や参加者がほぼ研究者である中で、小生だけが民間であったためモデュレーターのコーネル大のラウス教授(水資源システム分析やDSSの先駆者)が訝しいとのコメントされた際、ビスワス博士は「水資源に研究者だけが関わること自体がおかしい」とコメントされ会場に拍手が起こったのを覚えている。
さて本題であるが、ビスワスの論文自体は見かけ上IWRMに対して大変批判的な内容であるが、IWRM推進派よりIWRMのあるべき姿を理論的に論じたすばらしいものである。それだけに価値のある論文と理解している。IWRMでは何を統合するのかと聞かれて正しく答えられる人は数少ないのが実情である。これはISOの重要性が高まり、どの企業もISO9001認定に躍起になっていた現象と似ている。
一方、IWRMが提案されたWSSDだが、もうひとつのテーマがあった。それは水利用の効率化である。それらの国家計画を05年までに達成しようとするのが会議の主目的であったことは意外と知られていない。
また、00年にはWCD(世界ダム委員会)がダム開発に関わるガイドラインを作成し、世界的に大きな反響があった。これがIWRM推進と大きく関わっていると考えている。いずれも南アフリカで発信されたことも関係がある。現在、IWRMとWCDのガイドラインを旨く実施に移している代表的な国は意外にも南アフリカである。
続きは次号にて。ビスワスが示す41の項目については次号以降で記して論じることとする。
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