2008年11月22日土曜日

03:WCDのその後とIWRM運動の現状

前号の続きである。

WCDは01年委員会が解散され、ガイドラインの編纂と発表と共に活動は終わった。当時はダム開発に関するセンセーショナルな内容であり各国の反応も注目された。これまでの7年でWCDの活動はすっかり影を潜めている。母体のUNEPが細々とフォローしているのが実情である。

一方、IWRMは03年世界水フォーラムで華々しく取り上げられ、06年、そして来年09年のWWFでも今だ衰えずという状況である。しかし、プログラムを主体とする発想もIWRMの実施には触媒的な効果が薄いという事例が多く、世銀やアジ銀などはプロジェクトをプログラムと平行して進める判断も出始めている。ソフトとハードの統合が必要であることが認識されてきた証拠でもある。

IWRMのコンセプトの理解、計画の策定、そして実施というプロセスは触媒的なプロジェクト実施と共に進めることの重要性は定着しつつある。

世銀アフリカ局のある部長は水資源開発及び管理を進めるためには、次の3Iを提唱していた。

Infrastructure
Information
Institutions

インフラ整備・開発が、ある意味悪という意識がWCDガイドライン作成時にあったが、開発なくして貧困軽減はありえないという現実が認識されたのであろう。

次号では、アメリカにおける水資源開発管理の変遷について概観する。

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