先日あるセミナーでアメリカ陸軍工兵隊水資源研究所(IWR)のStakhiv氏(ジョンズ・ホプキンス大で水資源システム分析で博士号取得と聞いているので同大で有名なコーエン教授の流れを汲むと思われる)の講演を拝聴した。アメリカでもいよいよIWRMの実践を目的としてUNESCOの一組織が作られ、彼がその技術的な指導者となる。彼の講演ではアメリカの水資源管理がIWRMに沿ったものであるとは述べられていなかった。実は彼の論文の中でアメリカの水資源管理はdisintegratedであると嘆いており、IWRMの適用が必須であると主張している。
60年代ケネディー大統領の政治的なリーダーシップによって水資源の効率的・システム的な開発が推進された。ハーバード大の研究者チームによる水資源システムのデザインという名著があり、この本が80年代後半まで続いた最適化手法の始まりである。
一方、60年代初めには国家水資源委員会が設置され、法整備も進んだかに見えた。
80年代に入ると、カーターからレーガン大統領への移行という政治的な変化で、国家水資源委員会は解散され、それ以降水資源管理は州政府ごとに実施することになる。トップダウンからボトムアップ手法への転換である。
現在、国際的なIWRMという流れからアメリカでも国家的な主導の復活が必要との考えが出始めている。いよいよ世界的なIWRM運動にアメリカが参加する様子が垣間見れる。
アメリカはIWRMの先進国というイメージがあるが、意外にそうではないということが分かる。
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