河川流域開発のフェーズと開発の終焉については98年論文があることは前回示唆した。やっと見つけ出したので概略を記す。もう11年前であるがIWRMがプロモートされる寸前である。非常に基礎的な内容になっていて馴染める。IWRMプロモーション時期にはISOと同じで多くの人が内容はともかく置いてきぼりになることを恐れ邁進したのではと回想するが、やはり基礎的な計画論の研究は進めていくべきである。そうしたスタンスを維持している研究者、実務家も世界には多い。
さて、IWMI論文が参照していた論文は、
River basin development phases and implications of closure, J. Keller, A. Keller and G. Davids, 1998, Journal of Applied Irrigation Science. Vol. 33, No.2/1998.
である。
流域開発フェーズを標準形として3段階に設定し、
Expoitation (Phase 1):
1. Direct surface diversions and shallow groundwater pumping
2. Building storage and distribution ans deep GW use
Conservation (Phase 2):
3. Demand reduction and efficiency increase
4. Water treatment reclamation and salt disposal
Augmentation (Phase 3):
5. Water transfers from distant basins
6. Freshwater creation by desalting sea water
開発の可能性が下がっている流域の効率的な水需要管理の重要性を論じている。IWRMの重要テーマでもある。勿論、各流域によって変化形があり、夫々に進化過程がある。それを時系列的な水収支関係として整理し開発終焉時の最適な水需給計画を検討することになる。前述のIWMI論文にはヨルダンのケースが分かりやすく例題として紹介されている。
1トンの水を新規に開発するここと1トンの水を節水することの統合的な検討が必要となる。水源から末端の配水網まで統合的に比較する調査計画が望まれる。これについてはYemenのM/Pでオーストラリアの研究所が非常に素晴らしい調査を行なっている。
関連では、以前紹介したWEAPというソフトは水需給計画をinteractiveに検討できるものである。まだJICAの調査では用いられていないが、世界的にはIWRMに準じた低水管理ソフトとして標準である。
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