2009年11月14日土曜日

465:コンサルタントの品格と良識

コンサルはNGOやマスコミと違うので開発行為特にダム開発を完全否定するものではないが、やはりダム貯水池の持続的な運用を科学的及び技術的に精査することは当然と考えている、と思っている。

当初想定した自然条件の変化や流域の開発によって建設したダムが想定外の影響を受けダムの運用(利水及び治水など)に支障が生じることはままある。ODAがらみでは、

1.湛水後、ダム堤体或いは岩盤からの漏水
2.ダム貯水池或いは調整池の堆砂

がポピュラーな事例であろう。

自分自身が調査計画の参画したプロジェクトではそれらの事例は経験していないが、建設後のレビューや問題発生への対策計画に参加したことは数例ある。

スリランカの貯水池ダム発電の漏水、インドネシアの東部ジャワやスラべシ島の貯水池及び調整池の堆砂である。自分が所属する会社が以前実施した事例の場合は過去の資料があり比較的事実関係が分かるが、他社が行った事例の場合は資料も乏しく関係者からの情報もないので事実関係が分かりにくい。

それでも調査、計画、設計、工事監理業務の報告書を精査すると問題点や課題が見えてくる。B水力発電所(流れ込み式)の場合はインドネシアで最悪なダム堆砂問題である。調整池の堆砂が深刻で計画された発電運用ができない。当初から調査計画したコンサルの不手際であることは間違いないが、それ以上の問題がある。

数年前に堆砂対策工の調査計画を実施したコンサルの実力が全くないために、折角調査しても重大な課題が明らかにされず、間違った方向に進んでしまったのである。

さらに、この調査計画を実施するための追加調査が現在実施されているが、当初のコンサルとJVを組んでいるためにシリアスな問題は益々隠されることになる。彼らが提案しているダム堆砂対策工は世界で成功した事例がない。検討された事例が某国にあるがコスト(建設及び運用)の点で調整池内の分割導流堤案は却下されている。某国でも大規模な水理模型実験を行っている。

実は、B水力発電所の場合は如何なるダム堆砂工を実施しても調整池内の堆砂を防ぐ方法はないのである。大規模な水理模型実験を予定してるが、対象調整池及び上下流の水理的な挙動は多分再現できないと思っている。逆に再現しようとすればするほど回復はできないという結論に繋がる。

答えはただ一つであり、前回対策工調査で明らかにすべきであったが、ゼネコンの提案を鵜呑みにして、適当な水理検討を行い事業化する最終案としてしまった。意地悪だが、答えは彼らが失敗したら公表しよう。彼らは失敗しないと反省しない輩だから。お灸をすえるのいいだろう。

本件については以前何回か書いたが、昨日新情報を得たのでここで再度記述することにした。新情報を知らせてくれた方も対策工については否定的だった。大失敗するしかないねと同意した。

ODAでの実験的プロジェクトはこのご時世絶対に許されない。それもゼネコンの売り込みアイデアである。彼らに知恵があるかもしれないが、世界的に前例がないことをODAで実験しようとしている。ゼネコンと電力会社の談合だ。実際、彼らは電力会社の人間だからコンサルタントではない。だからコンサルタントの品格や良識はなくていいかもしれない。

東西の電力会社が共同して進められる調査を暫く見守っていくとしよう。十中八九失敗する実験プロジェクトだから失敗した時の責任はかなりシリアスだと思う。前回の団長も素人だったが、今回の団長もブロックMあたりで2度も遊んでいた長期の専門家だからジャカルタのカラオケ屋でエンジョイするのが唯一の楽しみなのだろうか。彼も知らないで団長になったかわいそうな方だ。

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