2010年12月23日木曜日

979:コンサルからの人材流出

昨日はまた四ツ谷に。

会議後、古巣の会社に行き大先輩と雑談。2時間も話してしまった。先輩もお元気で安心。途切れない会話だった。彼も今度はアジアからアフリカらしい。団長じゃないから楽だそうだ。彼の実力だと水管理計画では業界1だろうが。プロジェクト研究案件は失注だったらしい。団長が電力専門家じゃねえ、取れるわけがない。プロジェクトの今後の方向性に少なからず影響する案件に対する認識がないんだねえ。

まず驚いたのは、後輩の動きだ。

30代の数人(女性が二人)がアジ銀に転職し、マニラに15年引きこもっていた50代直前の後輩は世銀に移ったという。

小生の予言通りの流出だと思った。転職した3人は予想通りの転職だった。分かるもんなんですね。彼らの流出に落胆した会社幹部の人物観察力がないのかもしれないね。まあ、彼らもコンサルとしてはまだまだ10年早い程度だと思う。

30代から40代だと入社10年から20年か。彼らは「取りあえず」優秀という評価だろうし、先行きを考えれば転職するのは当然だ。給与は低下する一方、また女性の幹部登用もほぼない。

アジ銀や世銀も日本人登用を進めているから丁度いいタイミングが良かったのだろう。彼らの活躍を願っている。ただし、国際機関の案件をコンサルタントとして実施した経験がない場合、クライアント側の立場でコンサルタントを指導していく能力がないので、偉そうで横暴な対応はしないことだ。謙虚さと実力を高める誠実な努力をしないと国際ゴロになってしまう。要注意だと思う。実力のない人間がコンサルの評価だけしかしないのはさみしい。

この間、世銀ミッションと会ったが、ミッションリーダーのイギリス人シニア水資源スペシャリストがあまりにも鈍感で横暴なので、やんわり非難したが、彼も「ご迷惑をおかけしました。考え違いしてました。ごめんなさい。」と言ってくれた。これぐらいの謙虚さが必要だ。優位な立場を勘違いしないようにしてほしい。一方、北欧出身の生意気な若手世銀スタッフも以前は口だけの素人だったが、SWAP関連で正論を展開した後は、なぜかおとなしくなって、「あなたはSWAPのプロだから、何もコメントはありません。」とやけに弱気になった。国際機関の職員だからといってコンサルをなめたようなことをすると反発は大きいのだ。

昔と比べれば、国際機関の給与や待遇には魅力なしだ。専門性も高まる訳がない。それでも、体たらくのコンサル業界を抜け出し、国際機関に行けば世間的な印象はいい。実態は違うんだけれどね。

小生も30代は国際機関に行くことも代替案としてあったが、行かなくて良かったホッとしている。

1.それほど給与がいいわけではない(円高の影響)
2.子供の教育(補助があるらしいが、日本人として不完全に成長する可能性大)
3.博士号がなければ、専門家というタイトルでも、実際はコーディネーター(真の調整役は重要だけどね)
4.定年後日本に帰っても職なし
5.国際機関経験で、日本の大学教授になる可能性も今はゼロ
6.上司の欧米国際「ゴロツキ」の下での仕事はストレス過大(アジ銀のBとかね)

上記のような理由だ。要するに、国際機関退職後、国際放浪者になる。実際世銀のミッションでもまともな専門家は欧米の一流コンサルタントだけだ。これが実態。あくまで個人的な印象だが。

世銀に行った後輩はアフガン行きを条件として入ったらしい。大変だね。確か奥さんはアジ銀の専門家だが健康問題があり大変らしい。まあアフガンは緊張感があっていいけどね。兎に角頑張ってほしい。

彼らの将来を心配するなんて、大きなお世話だが、会社も深刻に考える必要性があるが、給与が上がらないことには解決する可能性はほぼない。事務屋を徹底的に切って、直接稼ぐ専門家を優遇する給与体系が必要だ。

四ツ谷を離れ、帰国後、初めて実家に寄った。親父から帰国したら直ぐ来いよ、と怒られた。両親とも健康で取りあえず安心した。多少親父も説教癖が悪化したようだ。お袋とは気がついたら夜中の1時まで落語のような会話をしてしまった。

80歳を過ぎた両親と一杯飲みながらのどかに話せる幸せを感じる。

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