2010年8月1日日曜日

716:計画調査の正念場

中小のコンサル会社のことはあまり知らないが、海外コンサル部門では大きく、

計画調査

設計施工監理

の二つの領域がある。計画調査の前段では、案件形成があり、設計施工監理の後には維持管理運用という領域もあるが、ある意味「おまけ」的な感じはあった。

最大手のあるコンサル会社では、計画屋(プランナー)と設計屋(エンジニア)がそれぞれの領域の仕事の積み重ねで育っていったように思う。ただ、90年代終わりころから会社の収益性が落ち込み、両者を自在に出来る人材作りに安易に向かったように思える。これが大失敗だった。

その結果、中途半端な成果しか得られないB級調査団もあったように見受けられる。

計画調査を主たる仕事と見るプランナーから見ると、設計施工監理を専門とするエンジニアはgiven conditionsがないと先に進むことができない人たちと感じている。逆に、エンジニアからみるとプランナーのいい加減な調査のため設計がうまくできないとこぼすことが見受けられる。両者は必ずしも一体できないのだ。

一方、コンサルにとっては、建設が終了すればそこでお終いという意識が高い。維持管理運営は精々運用マニュアルを作っておさらばだ。従って、維持管理運営に係るコンサルティングサービスはあまり深刻に想定しない。実際、計画段階(F/S)で建設後の維持管理運営方法を決めておかないといけないのだが。

さて、この20年でコンサルの仕事も様変わりである。

プランナーにもgiven conditionsがある。所謂、上位計画だ。国家水政策戦略などがそれにあたる。コンサルが係る段階は精々マスタープランからという認識が普通で、上位計画策定に深く係ることは殆どなかった。

昨今は、国家水政策、戦略、実行計画、組織改革・運営、人材育成、維持管理運用などこれまでサービスとして想定していない領域が多くなっている。

大雑把に言うと、こうした政策から管理に対応できる専門家は大手コンサル会社でも殆どいない。中小ではなおさらである。無償案件専門のコンサルでは計画手法さえ知らない。

収益性が落ち込んでいるコンサル会社がどう専門家を育てていくのかが大きな課題なのだが、全く改善はなさそうだ。

ある技師長が言った言葉。

「自分の会社の経営管理運営ができないコンサル会社が、海外途上国の国家政策戦略管理に係ることはできないし、収益がなければ廃業すべきだ。」

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