2009年5月25日月曜日

198:パプアニューギニアの電力開発

昔々、70年代の終わりにPNGの水力開発のF/Sがあった。プラリ河のワボ水力発電事業である。当時面白いことにJICAさんとAUSAIDの連携だった。確か日本側は日本工営、豪州側はSMECが共同でコンサルタントを受け持った。珍しい形態であり、それ以降こうした事例はたぶんないと思う。

報告書自体はどこかの国の図書館でたまたま見た。

ダムに関しては興味がなく、当時SMEC側が担当した推計水文学の応用技術である。ハーバード派の新鋭学者が開発した月流量の統計的処理と貯水池運用への応用である。日本側はこうした技術はなかったのでSMEC側の独壇場である。その後いくつかの水力開発案件で実践した。ワボ地点での年間平均降雨量は9,000㎜にも達する。

思い違いがなければ、発電の需要はアルミニウム精製用だと思う。事業費も大変な額であったと記憶している。従ってアルミニウム工場への投資が成立しなければ当然水力事業も成り立たない。インドネシア・スマトラのアサハン河水力開発と同様である。こちらは大成功。需要と供給両面を事業化させる久保田さんの朝鮮時代からの戦略である。

事情は知らないがアルミニウムの値段が下がったためか、ワボ水力事業は今まで塩漬けであった。

昨年ADBのjapan special fund(5千万円くらいか)によるPNG電力セクター開発計画のT/Aの公示がなされた。PNGも30年以上経ち民生用の電力不足が発生しているのだろう。調査結果もそろそろ出てくるか。

いよいよワボの再検討が進むか、あるいはもっと小規模のRORか?

いずれにしてもPNGの電力開発に可能性がでてきたか。ワボの問題点は貯水池建設による堆砂である。堆砂量の推定は今まで過少に推定することが多く各国で問題化している。水文専門家の出番である。

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