脳科学者の茂木健一郎が脳にアウェー戦を戦わせることで脳を活性化させることが重要と言っていた。
大賛成である。
小生の経験でも、慣れているホーム的な仕事では脳の活性化は不十分であり、慣れない環境下でアウェー戦を強いられるとホーム戦での経験の何倍もの成果が得られると思う。調査で想定されるアウェーの状況は次の通り。
1.JVサブとしてJV幹事の日本のコンサルタントの下で作業をする。
2.JVサブとして欧米のコンサルタントの下で作業をする。
3.JV幹事としてJVサブの欧米のコンサルタントを牽引する。
4.調査団員としての立場が下降したとき。
1.は比較的ある環境で、他社の風土の下で厳しい戦いを強いられることがある。しかし、相手は所詮日本人であり、言葉の問題はない。最大手ほど仕事は厳しい。それを嫌って逃げたら成長はしない。他流試合を知らずに井の中の蛙のままで40代になった人は不幸と思う。
2.欧米のコンサルタントにJVサブとしてお誘いがなければ経験は出来ない。この場合、彼らは日本のコンサルへの信頼が殆どないことが多く、最初から理不尽に小馬鹿にされるケースが多い。そこから底力を発揮して結果をだすことが要求される。言葉の問題(英語力)を解決せねば調査どころではない。多くの人は恥をかきたくないので当然毛嫌いする。そこを積極的に参加していく人が真のコンサルタントになりうる。
3.日本のコンサルタントとして最も過酷な状況である。特に最近は一人団長のケースが多く、身内がいない状況の中でネイティブの団員全てを統率する能力が要求される。最難関のアウェー戦である。残念ながら、最大手のコンサルでも経験者が数人いるかどうかという状況である。
4. 意外に過酷なアウェー戦は、団長をいくつも経験した後にただの団員として参加することである。昔はそんなことはなかったのだが、昨今のコンサル業界低迷などの原因で在り得る環境だ。団長経験者だった優秀な方がある理由でただの団員では自尊心が傷つくかもしれない。しかし、そのアウェー戦を乗り越えられれば健康である限りコンサル稼業を続けることができる。欧米のコンサルは最後まで水文専門家で通す人が普通だ。細く長くコンサルが続けたければ最悪なアウェー戦も面白くなり、専門性を継続させられる。団長ばかり10,20年も続けると専門性という頭脳は退化するだけだ。 WB、ADB、JICAも今は団長も専門性が優先され、団長という管理能力は別途評価されるのが普通だ。専門性が問われない団長は今は昔となったのだ。
小生の場合では30年弱で、1.のケースが3回、2.のケースが2回、3.のケースが1回しかない。4.も何度かあるが、その時の団長さんはさぞやりにくかったかも。
同じ会社の身内だけと仕事を重ねても、所詮はホーム戦である。 昔の大先輩は身内でも大変厳しかったが今は昔である。
また、同じ案件で10年も続けると確実にホーム戦になり、他国でのアウェー戦は苦戦してしまい、適応性は落ちる。
インドネシア、フィリピンなどでホーム戦が長いと離れがたくなる傾向がある。特に居心地のいいインドネシアなどに長くなると、他国での仕事に対する適応性は残念ながら下がるばかりだ。 英語より現地語が得意になったら要注意である。ホーム化の行きすぎになっている兆しだ。
アウェー戦が頑張りと共に次第にホーム戦になり、離れがたくなった時に数年のプロジェクトが終了し、次のアウェー戦へと戦線は続く。これがコンサルの宿命だ。アウェー戦をホーム戦にする時に大きな成長がある。
仕事をホーム化する過程で交渉力や調停力も養われ、IWRM対応でも重要なコンフリクトリスク管理能力が身につくというおまけがついてくる。conflict risk managementについてもいずれご紹介しよう。
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