GTZのフッパート博士が昨年書かれた論文を読んでみた。水セクターにおけるincentive compatibilityの必要性を論じている。彼によれば、水資源管理やIWRMにおいてICが基本なコンセプトであるのにもかかわらず無視されているという。
ICはゲーム理論やメカニズムデザインなどの用語で、
誘因一致性
誘因両立性
インセンティブ整合性
などと訳されている。multi objectiveが多目標とか多目的など、訳語に一致が見られないことに似ている。IWRMのIも初期には統合、統合的、総合、総合的と多訳されていた。
さて、上記の漢字訳ですっきり理解できる状況ではなさそうだ。IWRMを想定してすっきりする私的な訳はこうだ。
「各利害関係者が自己の利己的な誘因に従って表明或いは行動した結果が、IWRMの期待された挙動や目的に一致している」
フッパート氏は水統治やIWRMの成功及び失敗する可能性のチェックは5つの段階で分析できると推奨している。
1.IWRMの目標や目的を明確にする。
2.基本的なサービス及び利害関係者間のサービス関係を決定する。
3.適用されたガバナンスメカニズムを確認する。
4.インセンティブの発現に対するガバナンスメカニズムの効果やインセンティブの提供と目標や目的との一致性を評価する。
なるほど。要するにincentive compatibilityが水統治やIWRMの評価指針ということか。フランスの事例の評価結果はまた後日に。久々にゲーム理論や公共経済学をお勉強させていただいた。
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