2008年12月10日水曜日

27:トルコがIWRMを推進する必要性?

数日ブログをお休みするので、次いでながらトルコのIWRM事情をお話しよう。

トルコの水資源開発はおなじみDSIが主体である。国家水利庁(総局とも訳されている)である。水利ではなく水理事業が正解だが最初にトルコの水力開発事業の技術支援で入った電発さんが命名したのが定着したのだろう。長官と訳すべきものを総裁と和訳しているのも当時の電発さんの事例を模したものか。 アメリカで大学教授になったトルコ人の有名な水理学者(名前は忘れたが分かり次第追記する)もDSI総裁だったはずだ。土木技術に関しては一流である。ただし、水文調査計画となるとレベルは低く、EIE(電力調査庁)が優秀だ。

DSIやEIEの多くの友人たちはどうしたであろうか?JICAの調査もなくなりODAの対象でもなくなった。自国資金でのダム建設もそれほど多くはないはずだ。特にDSIの計画局部長のTuncay Soysal氏は昼間はアル中で支離滅裂だったが、ラクを飲むと快調で昔のダム調査計画の苦労話に事欠かなかった。定年後、亡くなわれたかもしれない。 88年から96年までの8年間で連続6件のトルコ案件に関わったが、この12年は全く音信不通だ。

今ではJICAさんの水力F/S調査もなくなったのでDSIの方々も日本びいきの方が少なくなっただろう。DSI本庁の局長以上だけが利用できる特別レストランで毎日お食事を一緒にさせていただいたころが懐かしい。アウェー戦からやっとホーム戦に入ったころだ。

IWRM導入はやはりWWF3前後である。当時からトルコはEU参加を目指していたがEU参加の条件は参加国の種々の基準を満たしていなければならなかった。水資源管理も同様である。所謂、EU水枠組み指令である。そのため、EUからの指導によってIWRM対応のパイロット流域が選定されたというわけだ。

選定されたのは地中海に注ぐBuyuk Menderes川流域である。92年に現地を踏査した思い出深いところでもある。名前の意味は、大蛇行川とでも言おうか。menderesが蛇行が特徴的であったため、英語のmeanderになった。 因みに、Kuchuk Menderesもあり、こちらは小蛇行川だ。トルコ第3の都市であるイズミールに近い。この地は温暖で冬季にはイスタンブールの宮廷から避暑にやってきた歴史がある。

WWF3ではGAPがwater-related projectとして大々的に紹介されていたが、WWF5ではIWRMのパイロットサイトとして紹介されるかもしれない。

IWRMが政治的な取引に使われたとは言わないが、面白い現象である。incentiveはrewardsの場合もあるし、sanctionの場合もある。前出のEUのDSSでは、トルコの水資源管理におけるDSSは今だ未熟との結論があることも面白い。

さて、前出のカザフのIWRM計画の政府承認だが、そろそろ大統領が正式承認するらしいと風の便りで聞いた。

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