2011年3月9日水曜日

1145:アトキンスの報告書を精査する

最近調査が終了したアトキンスの報告書を全て読んだ。

なるほどね。彼らは気象・水文から水収支までの評価をシステマチックに効率的に実施する手法を確立している。

英文でのプレゼンも当然ながら見事である。

たったの1年でここまでやる実力に感嘆する。

日本のコンサルの場合、1流のコンサルでも多分2年はかかる作業かもしれない。英語の格段の差は絶対に埋まらないので、実質同じ成果を期待するのは無理だ。

特にGISを使った結果の整理がいい。データ処理も効率的。全体的に荒っぽいがデータが無くてはしょうがない。ちまちまやる必要性もない。

日本の2流のコンサルだったら絶対に到達できない領域である。だからアジ銀や世銀など日本のコンサルは欧米に勝てないし、たとえ奇跡的に受注しても、作業期間1年ぐらいで1億円ぐらいの受注額では、欧米のコンサルのレベルに達しようとすると必ず赤字になる。そしてもう挑戦しない。赤字を続ける企業はない。

ただし、モデリングや計画の再現性となると彼らもかなり消極的だし、水資源管理の強化を進めるための技術移転は絶対にしたくないらしい。だから、水資源管理強化は調査計画ではなく、技プロでじっくりするのが寧ろ日本勢にはいいと思う。そこに優位性があるように思う。

彼らの調査の次段階は、戦略的投資計画だ。どんな最適な手法を用いるかはお楽しみである。これについても日本のコンサルは手法を確立していない。主流は多目標(多基準)計画手法という。そのことをアトキンスの専門家に話したらビクッとしていたね。水収支のある有名な世界最強モデルも知っていた。彼らは水収支は適当にやって、今回は適用しなかった。そこも大雑把で弱点である。

日本のコンサルも人材不足と経営悪化でモデリングやGISなどITを最大限利用する計画手法を確立しないと途上国側からも期待されなくなるかもしれない。

英語で負けるのだからせめて最新最強モデリングで勝ってほしいものだ。でも知らなければだめだね。

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