2009年6月23日火曜日

257:The History Boys

またまた秀作映画の登場である。

イギリスのグラマースクールの話。元々は舞台劇であったようだ。グラマースクールのことが良く分かった。パブリックスクールと違って公立であり10%程度の上位の子供が入れるらしい。いずれも中高一貫である。

最終年であろうか大学の専門に合わせて受験対応の講義が続く。3人の先生と歴史志望の生徒の人間模様が描かれている。自由闊達というのがどんなものかが分かる。旧制中学や旧制高校のようである。実際は知らないが。イギリスの大学入試は面接や筆記試験が主体である。俄か暗記では合格しないらしい。

それにしてもイギリスの進学校の生徒は日本人より大人であるし、教授陣もそれぞれユニークである。そう描かれている。志望大学は主にオックスブリッジである。日本なら差し詰め東大・京大であろうか。イギリスではオックフォードとケンブリッジだけは併願できないそうだ。

埼玉には県立浦和高校という旧制中学だった進学校がある。イギリスのパブリックスクールのホイットギフト校(正式にはIndependent Day Schoolというらしい)に長期で留学させるユニークな制度があり、2年に一人ぐらいが行っているようだ。多分日本語教育に熱心な方針とも関係あるかもしれない。卒業してケンブリッジやロンドン大学に行く子もいるので大したものである。開成を断って浦和高校に行く子供もいるくらいだから伝統高の素晴らしさであろう。無論ガリ勉で中学で一番でやっとこさ入る子もいて面白い。

浦和高校は1学年350人ほどだろうか。旧制中学系はどの県にもあるのだろうが、岡崎高校と浦和高校は公立高としては今でも群を抜いている(旧制府立1中だった日比谷高や神奈川の湘南高校は私立の台頭で低迷しているが、昨今は不況で私立の学費が負担となって公立もだんだん復活してくるかもしれない)。浦和高校の実体はうちの奥さんから時どき聞いているが、人格形成を高める旧制中学的な伝統を守っているらしい。あくまでPTA側からのコメントだが。確かに350人もいれば全てが天才や秀才ではないが、上位10%ぐらいは本物かもしれない。

イギリスのパブリックとグラマースクールは日本の私立有名進学校と公立旧制中学校系に似ているように感じた。勉強のできる子が偏見を持って描かれている日本はさびしい。できる子はガリ勉しなくても、基本的に知的なのである。勉強することが好きだし苦労は感じない。

イギリス版「坊ちゃん」を見ているような錯覚を覚えた。中々いい映画であった。

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