2009年7月5日日曜日

285:Ross McDonaldとの出会い

音響的な効果はすごい。懐かしの曲を聞いていると、過去の思いが走馬灯のように蘇ってくる。年のせいか。

高校1年のときにはニューズウェークを定期購読していた。生意気な高校生だ。中学の子供じみた英語には飽き飽きしていたし、将来はNHKの海外特派員を夢見ていたころだ。

流石にお勉強的な英語にも飽きてきたころ、映画で「Drowning Pool」という探偵物を見た。原作に興味を持って、作者であるRoss McDonaldをペンギンブックスかなにかで探した。神保町だったか銀座だったかは忘れた。兎に角、原作でまた魅かれた。英語の生きた文章にだ。

映画を見ているような文章の流れがあり、LAあたりの光景が目に浮かぶ。Ross MacDonaldはそれ以前のダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーに次ぐハードボイルド小説の大家であるが、やはり戦後派だから文章はやさしい。

1950年代から60,70年代まで書いていただろうか。自伝もずっと後に読んだ記憶がある。

兎に角、歯切れのいい会話。無駄のない表現と豊かさ。しゃれた言い回し。いろいろ学んだ。英語でどう女性の心を捉えるかという技もだ。事情聴取術もだ。流石に口説くのは実践していないが。

元副社長で軽音楽部部長のY氏は中々上品な方であったが、ある時飲み屋で一緒になり探偵小説の話で盛り上がった。彼はハメットやチャンドラーは知っていたが、ロス・マクドナルドを知る世代ではなかったが、中々おちゃめな方だ。育ちがいいのだろう。その時は、高級な九州の焼酎を飲ませていただき、朝の4時まで飲み続けても泥酔しない私も流石に泥酔してしまった。あの時は、尊敬する設計のプロのH氏がインドネシアのダム現場で休日のオリエンテーション参加中倒れて亡くなられた直後だったからか。

H氏のようなプロで頑固な先輩諸氏が少しづく会社から消えていなくなってきた90年代半ばのころの話だ。

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