2010年11月19日金曜日

934:C氏の遺志を継ぐ思い

当地に赴任する半年ほど前に、水省水資源副局長のC氏が交通事故で部下と共に亡くなられた。これについては以前書いたと思う。彼の残した文章を見ると、抜群の才能を持っていた方だと直感した。彼に勝る方は残念ながら今の水省にはいない。

こうして1年半当地で作業を進めていると、随所に彼の水資源に対する意思を見出すことがある。

先週もある技術検討グループに参加したが、そこで配られた過去の資料にも彼の知見の断片が輝いている。彼が亡くなられた直前に作成されたものだ。遺言だね。

しかし今はもう誰も彼の業績を語るものはいない。世銀が2年前に来た時の覚書には彼の業績と貢献がはっきりと書かれている。世銀にとっては水省で最も頼れる人だったのだろう。

それでも2年も経てば、世銀の担当者も代わる。

僕自身は彼に会っていない。しかし、彼の思いはずっと感じているし、彼だったらどうするんだろうといつも考えている。

異国に来て、専門家ぶっていても、やはりその国で何十年も仕事を続けてきた人には敵わない。彼が書いたであろう文章をみるとハッとするする思いである。そうじゃないよ、と言われているようだ。そう、そう、そこなんだよ、ポイントは、と語りかけているようだ。

組織における「個」とはなんであろうか。どんなすごい人でも定年で去り、活躍半ばで亡くなる方も多い。そうした大先輩を何人も知っているが、いつも彼らの意思というものを感じていたいね。

今は水行政について書いているけれど、複雑怪奇であり、中々いいアイデアが浮かばないが、時々、C氏の思いが伝わってくることがある。

コンサルは結局のところ下働きだから表に出ることはないが、ただ唯一将来に残せるものは報告書だ。

だから、報告書を書くことは個の存在を示す唯一の手段だ。

帰国まで11日となった。真摯な気持ちを維持しながら、進むことにしよう。

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