2014年6月6日金曜日

2342:久々の本の要旨

水木楊『三木武吉の生涯:誠心誠意、嘘をつく』の要旨。

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稀代の党人政治家であり、謀将、策士、寝業師などの異名がある。
戦後の保守合同を成し遂げた政治家として、その偉業は現代でも語り継がれている。
元総理大臣の三木武夫とは、縁戚関係にはない。(知らなかった。)


・三木武吉は、香川県の高松生まれた。
1884年である。
隣家には漢学塾があり、幼時から素読の声を子守唄と聴いて育った。
6歳から通いもした。(なるほど。)


・漢学は人の上に立つための、経世の学問である。
その素養もまた少年の大人びた雰囲気を醸成したのだろう。
政界に出てから、三木は寸鉄人を刺す警句を得意とした。
漢学の素養は政治にも役立った。(だろうね。)


・高松中学時代、仲間と、うどん屋で食い逃げをやった。
首謀者は、松平家家老の家柄の学生だった。
しかし三木は彼をかばって首謀者であり続けた。
そのため、退学になったのは三木のほか、3名。
息子の退学通知を受け取った武吉の父は、怒りもせず、
「それもええ。だが、食べたうどん代ぐれえは弁償せないかんな」と飄々と言った。(父親も偉かったねえ。こどもというのは、意外と父親の影響を受けるもんだ。僕もそうだ。)


・三木は早稲田大学在学中に、米国のブライアン下院議員のスピーチを聞いた。
英語で意味は分からなかったが、内容よりも、その響きに魅せられた。
響きを生み出す魂に魅せられた。
魂のこもった弁舌は、たとえ内容が分からなくても、人を感動させられるものなのだ。
「沈黙は金、雄弁は銀」とも言われるが、それは世捨て人の言葉に過ぎない。
雄弁こそは人種も国境も超越する、黄金の力を持っている。
三木は、自分もあのように人に語りかけられるようになりたい、
雄弁を身につけたいと熱く思った。(ケネディーの演説を聞いたのが、小学校1年の時。TBSのこれが世界だ、という番組だったと記憶している。だからと言って、政治家は目指さなかったが、今のコンサル稼業では、プレゼンの技というものが大事と認識している。)


・やがて衆議院議員となった三木は、頭の回転もおそろしく速く、
野次のうまさでも群を抜いていた。
当時、大蔵大臣は「だるま」の仇名のある高橋是清である。
達磨大師には壁に向かって9年も座禅を続けたという故事がある。

高橋は、金融財政の専門家だから、演説も堂に入っている。
野党の憲政会は国民生活を犠牲にした増艦計画には反対だが、
堂々とした演説に耳を傾けざるをえない雰囲気になっていた。
ときどき野次は飛びはするが、迫力はなく、笑い声も起きない。

・ところが、高橋が声を高め、力を入れて、
「このため陸海軍とも難儀を忍んで長期の計画といたし、
陸軍は10年、海軍は8年・・・」と言った瞬間だった。
間髪を入れぬ野次が飛んだ。

「ダルマは9年」
とたんに、議場が大爆笑となった。
達磨大師の9年間の座禅に引っかけた、三木の野次である。
ひな壇の原首相も苦笑している。
この「ダルマは9年」で、高橋の演説は調子がすっかり狂ってしまった。

・三木の野次は意味もなく騒ぐというわけではなく、機知に富み、
なるほどと思わせるたぐいが多かった。
ほどなく三木に「野次将軍」の称号が付くことになる。(野次にも教養と機転が重要だ。ただわめいているのは下品だね。)

・浜口雄幸の引き立てで、憲政会幹事長に就任したときは39歳。
大正13年の総選挙では、堂々陣頭指揮を執り、憲政会を議員数155名の第一党にした。
青年幹事長は得意の頂点にあった。(39歳で幹事長というのがビックリ。昔はみんな若くて頂点を極めていたんだねえ。)


・戦後、三木は、日本自由党の総務会長となる。
幹事長は、河野一郎。
昭和21年の総選挙で勝利、第一党となる。
河野は、このときの三木をこう評している。
「三木の爺さんの活躍には僕も目をむいた。
候補者の能力を見分け、地盤の強弱を判断し、
ときには候補者をおだて、またときには叱り飛ばす。
全く無経験な候補者に選挙のABCから教えた。
ぴたり、ぴたり、ツボを押さえていく手練の術は全く見事だった」

・三木に助けられた吉田茂は、無事内閣を発足させた。
三木の手腕に誰よりも驚いたのは、吉田だった。
会議をまとめ上げていく間と気合は、誰しも真似できるものではない。
ましてや官僚上がりの吉田にできるわざではない。(御意。)

※コメント
政治には、表舞台と裏舞台がある。
どんなにきれいごとをいって、必ず裏舞台の仕事がある。
政治の本質を分かっている人は、裏舞台の重要性を熟知している。
そんなことを教えてくれるのが、三木武吉だ。(コンサルも舞台裏の仕事。汚い仕事ではないが、目立たないだけど重要な仕事ではある。報酬も割といい、具体は言えないけどね。実力次第。)

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次は、いよいよあの天才か詐欺師かの苫米地さんの本の要旨について書く。お楽しみに。苫米地用語が出てきます。



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