2013年5月22日水曜日

1558:選定のクライテリア

複数のクライテリアで最適解を求めることがよくある。

数学的に行うときは、多目標計画手法を用いる。例えば、電力システムの最適投入運営計画の場合、システム全体のコストを最小化するだけだったが、以前から別の目標、すなわち環境負荷を最小化する目標を追加し、最適解を求める。こういうことは水セクターでも実施され、いくつかの目標を設定して最適化する。僕はこれの専門家でもあるが、昨今では一人調査団長兼業務調整員だから、もう調査団ですることもなくなった。ちょっとさみしいね。

さて、今回はずっとやさしい意思決定問題だ。10地域から5地域を選定する問題。我が国が支援したあるいは支援中の2地域は当然選びたいが、論理的な理由なしには選べないという制約がある。他のドナーの批判は避けたい。

いくつかのクライテリアを設けて、10地域の中から5地域を選ぶ。各クライテリアで10地域を点数化して、全部のクライテリアの合計で上位5地域を選ぶこともできる。

今回は、3つの大地域(A、B、C)に10地域が分かれる。A(3地域),B(4地域),C(3地域)という具合だ。3つの大地域から最低1地域を選ぶことで、「地域差を勘案して、大地域A、B。Cから公平に選ぶ」というクライテリアを設定し、これで大地域間の競合はなくなった。

さらに、「対象課題がない地域は外す」。C大地域には対象課題がある地域は1地域しかないので、このクライテリアでC大地域では自動的に決まった。

「各地域で、他地域より先んじている具体の事例を優先する」というクライテリアを設定。A、B、C大地域で誰もが納得する優良事例を有する地域を選定。B大地域のみから1地域選定した。実際、この地域は我が国が支援した特別な地域だが、それは選定の理由にはならない。不公平という烙印を押される。

この段階まで絞ると、後の選定は点数化が可能となる。特段の選定クライテリアがないからだ。

AおよびB大地域では、各地域で「多くの事案」があり、その数で勝っている地域を、AおよびB大地域でそれぞれ2個、1個を選定した。

これで、

A大地域:2地域
B大地域:2地域
C大地域:1地域

の5地域決まった。

我が国の支援の2地域を、不自然なく、うまく選定できた(かな??)。

期待する落としどころ、という最終結果から逆解析して、選定クライテリアを設定するのもコンサルの常道だ。まやかしだと言われるかもしれないが、各クライテリアの設定には無理がないので当然の結果だと主張できる。

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